あなたは生命保険に加入していますか?
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によれば、生命保険に加入している人は、男性で81.1%、女性が82.9%ということが分かっています。
日本では、生命保険に加入するのがある意味で常識に近いような認識を持っている人も多くおり、就職や結婚、子供の誕生など、生命保険へ加入するきっかけは様々です。
就職したら会社で入る人もいれば、家族や親戚に勧められて加入したという人は少し前は主流でしたが、インターネットが普及してからはFPへの無料相談や比較サイトなどの紹介からの加入も増えています。
しかし、一度加入すると、後々損をすることが分かったとしても「解約」する人は非常に少なく、何かと「解約しよう」と決断するのが難しいのも保険です。
その結果、保険に対して無駄に大きな保険料を支払う事になることも少なくありません。
そういった余計な無駄を防ぐためにも、今回の記事ではFPに相談しなくても生命保険を解約するタイミングを判断できる基準について紹介していきたいと思います。
毎月の支払いは大きくなくとも、長い時間加入し続ける保険は長い目で見れば非常に大きな額になります。少しでも生命保険で無駄な支払いを減らせるように、ぜひ解約をベストなタイミングで行えるようになりましょう。
解約しずらい生命保険、その理由とは?
生命保険は、本来自分の資産で賄えないような高額な医療費用を補うために入るものです。
長く生活していれば、病気が怪我といったものを「一度ぐらいはする可能性はある」と多くの人が考えますが、いつ病気や怪我をするのかは分かりませんし、具体的な医療費も実際に起きていないで分かりません。
そういった不安が解消されるのであれば、そもそも保険は不必要だともいえます。ただ、それでも解約せずに入り続けている人は非常に多くいます。
過去に当サイトで「その保険本当に必要?知らないまま加入していると損をする生命保険」で紹介したように、健康保険と高額医療制度を利用すれば想像しているほど大きな医療費を支払う必要はなくなります。
もちろん、高額医療制度の事を知らなかったり、健康保険料の支払いが滞っているという人であれば話は別かもしれませんが、日本では世界的に医療面でのサポートは厚くなっています。
それでも不必要な生命保険に加入し続けている人の多くは、生命保険を解約しにくい理由として次の3つが多く挙がります。
- 人情絡みでの加入
- 解約した後のネガティブイメージ
- 保険料は払えるので入って後回しにしてしまう
言われてみれば心当たりがあると感じる人もいるかもしれませんが、不必要な生命保険に加入し続けている人の理由を細かく説明していきたいと思います。
生命保険を解約できない理由①「人情絡みでの加入」
就職した新入社員の人なら、憧れている先輩や頼れる上司から「若いときに入ったほうが保険料が安くて良いから紹介しようか?」なんて言われれば、加入しようかな?と迷う人もいるはずです。
また、親戚や家族から「もう働き始めたんだから生命保険には自分で加入したら?」といわれると、前向きに生命保険へ加入するように考えるはずです。
「せっかく紹介してもらったし」と、人付き合いや良い人からの紹介ということで人情絡みの理由から生命保険を解約しづらいケースは非常に多くあります。
特に生命保険で若いうちに加入している人の多くは、こういった付き合いなどで契約するパターンは多くなっているため、資産形成を見直してみた結果、解約したほうが良い場合には紹介者の顔が思い浮かぶでしまうと人も少なからからずいるはずです。
生命保険を解約できない理由②「解約後の不安」
生命保険に加入している間は、万が一にでも病気や怪我をしても生命保険による保証で資金に対する後ろ盾があるような状態です。
しかし、いざ解約するとなるとこの安心感はなくなってしまうため、「もしも解約した後に病気や怪我をしたら…」とネガティブなイメージを解約前に悩んでしまうケースも多くあります。
ただ、日本には健康保険や高額医療制度などがあり、医療面では保証がしっかりとしているため、生命保険での加入で補える部分もある程度賄うことができます。何より、長い間生命保険に加入して保険料を支払うなら、その間に資産設計をしっかりとしたほうが経済的にも余裕が生まれる場合があります。
しかし、解約を迷っている人で、給料を全て使い切ってしまうので貯金するのが難しいと…いう人であれば、生命保険に加入しておいたほうが良いケースの場合も考えられるので、その点は自身の浪費癖も考慮しておきましょう。
生命保険を解約できない理由③「後回しにしてしまう」
生命保険の必要性や保険料が安いものへの加入を検討している場合には、一度決心すれば解約に至るまではスムーズです。しかし、中には取り敢えず保険料を払えるから加入しておき、解約を後回しにしてしまうという人もいます。
長期間では大きな損をする場合もある生命保険も、短期でみれば対して大きな差が発生しません。このことから、保険料を支払うのが当たり前になって特に困ることもないため、「解約しよう解約しよう」と後回しにしてしまい、なんだかんだ数年と言う期間を無駄と分かっていても加入したままという人も意外と多くいます。
このタイプの人は時間が経って将来を意識し始めた資産形成の際、FPへの相談が後押しとなり解約するパターンが多くなっていますが、支払う保険料や保証される医療額の内容などは比較サイトでも確認することができるので、無駄と分かったら早い段階で解約するのが重要です。
生命保険を解約するタイミング
生命保険は、一度加入してしまえばお金を支払った以上は取り返さないと損だと思ってしまう、サンクコスト(没落費用)の意識も働くため、解約を決意するまでは意外と簡単ではありません。
特に貯蓄型の生命保険であれば途中解約によって元本割れをしてしまうこともあるので、解約しそびれてしまうというわけです。
あくまでも生命保険は保証を買うためのものですので、損益で考えるのではなく、必要性を見極めて加入と解約を行うことが大切になります。
それでは、次はどのタイミングで生命保険を解約すればいいのか?
具体的なケースを交えてお伝えしたいと思います。
ある程度の資産が貯まったら医療保険を解約
病気の入院に備える生命保険の加入率は73.1%と、生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度の調査結果で分かっていますが、医療費に関しては前途でも説明したように高額療養費制度があるため、一般的な年収であれば1ヶ月約9万円の負担で済ませることができます。
また、仮に100万円の医療費が必要でも約87,000円で済みますので、保険が必要かと言われれば疑問なところです。ただ、高額医療制度にも入院の際にかかるベット代や食事代、着替えや雑費のお金は対象外で保証されません。
その点を考えると、一ヶ月の入院費は15万円ほどあれば充分と考えられますので、家族の人数次第でもありますが、医療費用として100万円も資産があれば保険に加入しなくても補うことはできます。
ただ、自由診療や先進医療の場合には健康保険の対象外で10割負担になるので、ガンの免疫療法(自由検診)は約150万円〜200万円、ガンの陽子線治療(先進医療)なら300万円ほど必要になることを考えると、自由診療や先進医療に対応することを考慮してガン保険だけは加入するという選択肢もありです。
それでも、保証される医療の幅が広がるほど保険料は高額になる傾向があるので、賢く保険は加入していらないものは解約するようにしましょう。
医療保険を解約しても良い貯金額の目安は人それぞれですが、心配しだすとキリがないので、保障の必要性を線引きしてある程度の資産が貯まったら解約する保険と加入し続ける保険を決めるのがオススメです。
マイフォームの購入したら死亡保険を解約
住宅ローンを組んでマイフォームを購入する人は多くいますが、死亡時やガンといった大きな病気になった際にはローンの支払い義務がなくなる団体信用生命保険に加入します。
これはローンの支払い条件によって異なりますが、例えば3000万円のローンを組む場合には3000万円の死亡保障が付くことになるので、加入している死亡保険と重複してしまうケースも知らないうちに発生します。
そのため、住宅ローンを組んだら死亡保障のベストなタイミングともいえます。
ローンの返済がなくなれば、預貯金や遺族年金などで残された家族が長い間生活できる可能性が高くなります。そのことを考えれば、死亡保障はほぼ必要なくなります。
ただ、ローンの返済がなくなっても、必要な子供の学費や生活保障があればその分の保障は残しておきましょう。
子供が自立して社会人になったら死亡保険を解約
大きな死亡保険を準備している生命保険の場合には、守るべき子供が自立して社会に出たら不必要になるので解約のタイミングになります。
子供が就職するまでに万が一のことを考えれば、教育費や生活費を確保する必要がありますが、その額を預貯金で確保することが難しい場合には保険で保障を準備できるようにします。しかし、子供が自立してお金がかからなくなれば、自分で生活をしていくことになるためその保証は必要なくなります。
死亡保障がなくても残された家族が困らないのであれば、解約して老後などに向けた資産形成に役立てるようにしましょう。
ただ、中には家族の状況によって全てを解約するのではなく、保障を減らす減額という方法で保険を一部解約するという選択肢もあります。子供が複数人いたり、配偶者へお金を多く残したりと思う場合には、解約するのではなく一部を残して減額するという考えも持っておきましょう。
75歳の後期高齢者医療制度の対象になったら解約
現在の制度では、75歳から後期高齢者医療制度の対象となるため、医療機関での自己負担額が1割になります。さらに1ヶ月の上限額も18,000円で、住民非課税世帯は1ヶ月8,000円とかなり医療費を安く抑えることができます。
後期高齢者医療制度に関しては、年収が現役並の約370万円以上であれば自己負担額が3割と増えますが、それでも医療保険は月々の掛金は安くても終身払いなら一生涯支払う必要があります。
そう考えれば、自己負担額が3割だとしても75歳以上医療保障制度の充実を考慮するとさほど必要ないといえるはずです。
保険の必要性は将来を見据えて判断する
生命保険は、出し合ったお金で困った人を助けるという相互扶助の考え方からできています。
しかし、意外と怪我や病気になることが少ないように、多くの支払ったお金が保険会社の利益になっています。そもそも健康保険や高額医療制度での保障を考えれば、保険会社が支払う金額は自由診療や先端医療を除けば加入者が元を取ることができないのが実情です。
確かに、万が一の備えとして自分で手の負えないものへの安心は買うものですが、自分や家族にとって本当に必要な保険なのか?支払いなのか?ということを今後のライフプランを見据えたうえで考えるようにしましょう。
日本では世界的に長寿の国としても有名ですし、不必要なものであれば保険は解約して、長生きするリスクに備えた老後の資産設計へ重点をおくほうがあなたにとっては得になるはずです。
もちろん、今後は高額療養費制度や後期高齢者医療制度などの社会保障制度は変わる可能性もあるので、その点も忘れずに注意して必要な保険は残し、不必要な保険は解約できるようにしましょう。
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