経済指標とは、その国の経済が上向いているのか、下向いているのかの状況を把握するためにあります。経済指標はひとつの国だけでも数十個はあるので、世界中の国が発表する経済指標は100個以上。
その中でも最も注目されている指標が「アメリカの雇用統計」です。
これは指標の中の指標、キングオブ指標といっても過言ではないほど多くの通貨に影響を及ぼします。つまり、世界中の投資家が大きな値動きが発生する可能性が高い雇用統計で、発表される情報を待って稼ごうとしているわけです。
では、FXにおいてなぜ雇用統計が注目される理由とは何なのか。
雇用時計とひとことに言っても、色々な項目が発表されますし、そのなかでどの数字に注目しなければいけないのかほとんどの人が理解していません。
FXを始めたばかりの初心者なら特にそうでしょうし、「そもそも雇用統計ってなに?」と雇用統計のことを知らずに大きな為替変動に損失を出してしまったひとも少なくないかもしれません。
今回の記事では、FXで投資家に最も注目されるアメリカの雇用統計がどういったものなのか説明し、稼ぐためにどこに注目して確認すればいいのかをお伝えしていきたいと思います。
FXでよく聞く雇用統計ってなに?
「失業率」と「非農業部門雇用者数」の、前月の統計が基本的に毎月第一金曜日に発表され、市場参加者の注目は非農業者部門雇用者数の数字です。
非農業者部門就業者数が増加傾向になっていれば、アメリカの経済状況が良好であると判断され、ドル高の要因になります。
雇用統計は景気指標として相当高い時期に発表されるため、「速効性」が高い指標であることも注目度が高い原因になっています。
投資家の資金力と理解度によって認識が異なる
一般のFX投資家にとって雇用統計は月に1度の稼ぎ時、祭りと認識しているひともいれば、逆に雇用統計だけは手を出さないでおこうと厄日のように感じているひとなど両極端です。
ただ、大きく動くから稼げると勘違いしている初心者や雇用統計の旨みを知っている上級者は大変魅力的に見えます。発表後は一瞬にして1円=100pips以上動くこともあり、一気に一攫千金を作る近道にもなります。
発表時間は決まっており、アメリカの雇用統計は月の第一金曜日日本時間の22時30分に発表されます。しかも、その発表によって為替レートが大きく動く可能性が高いとなれば、プロの投資家も当然利益を狙いにいきます。
発表の3日前頃から意識され始め、その影響力は3営業日後ぐらいまで続きます。
発表直後の瞬発力勝負になりますが、初心者にとっては本当に運による取引になってしまうので経験を積んで慣れるまでは消極的に観察しましょう。
世界経済に影響を及ぼすアメリカの雇用統計
そもそもなぜアメリカの雇用統計が一番注目されているのかというと、何だかんだ言っても世界経済の中心はアメリカです。いわば、アメリカの経済が為替を動かしているからに他なりません。
「アメリカの経済が風にひけば、日本は肺炎にかかる」と言われているほどですし、欧州経済に関してもアメリカの動向による影響を大きく受けます。
お金持ちの国であるアメリカ人の給料が増えると、いろいろなモノを購入する人が増えるので景気が良好になります。逆に働いていない人はモノを購入することはできませんので悪くなります。
そういう理由から、アメリカの雇用統計がFXでは最も注目されています。
また、日本の場合には業績が最悪の状態にならないと労働者のクビにしませんが、アメリカの場合は早い段階でクビにします。だからこそ雇用統計の増減はアメリカ経済の変化を俊敏に表す経済指標になります。
非農業部門雇用者数
雇用統計で大事なの1つが景気と流動性の高い「非農業部門雇用者数」です。
農業は季節労働者を含む(季節により仕事の増減、変動が大きい)ので、その部分を除いた「非農業者部門」で働く人の数がアメリカ経済のファンダメンタルズを示す指標として重視されるわけです。
「非農業部門で働くひと」を簡単にいってしまえば、サラリーマンやアルバイト、派遣といったお給料をもらった人のことです。
調査が行われる週に、維持間でなんらかの仕事をしていれば、被雇用者とみなされます。
パーツもフルタイムも関係なしですが、経営者や自営業者は「給料をもらった人」としてカウントされません。
前月にお給料をもらった人の数は、アメリカ経済の「今」の景気がわかりやすいので、雇用統計が注目されるわけです。
不況のレベルがダイレクトに反映される失業率
失業率は、16歳以上の労働人口の中で失業者を占める割合のことです。
調査期間中(毎月12日を含む週)に働くことが可能な状態でも働いておらず、過去4週間以内に求職活動をした人が「失業者」としてカウントされます。
失業率は毎回大きい変化はありません。
しかし、9.9%と10%の違いが、イマイチよく分からないといったことから、「非農業部門雇用者数」の方が注目されます。
失業率は短期間に1~2%動くこともあります。もちろん、数値が高ければ高いほど「不況」なのですが、1930年の大恐時代には、失業率が25%近くまで上昇してアメリカ史上最も最悪水準を記録したことも過去にはあります。
雇用統計の数字はどうやって集計するのか?
「雇用者数」は、全米35万社にもおよぶ非農業部門の民間企業から毎月集めています。
データの収集には膨大な数の機関が携わり、膨大な時間要するのですが、調査の結果は12日を含む週の調査が締め切られたら3週間後の金曜に、調査票の回収率が60%の段階で第一次推計値が発表されます。
「失業率」については、労働省が毎月6万世帯の各家庭に調査依頼(人口動態調査と呼ばれるアンケート調査)を行っています。
そこで集められた失業者の集計データが労働統計局に送られるというわけです。
雇用統計をFXで活かすポイント①
実際の雇用統計を取引に取り入れるのであれば、確認しておく重要なポイントがあります。
それは非農業部門雇用者数の予想と発表値の差になります。
雇用統計は事前に「予想値」と実際の発表値の差が大きれば大きいほど、為替相場が大きく動きます。つまり、単純に発表された数字が良かったから上がるというわけではないということです。
実際の「非農業者部門雇用者数」の予測と結果
簡単に言ってしまえば、市場予測と実際のブレの大きさが相場を動かす理由というわけです。
実際に発表直後には予測されている数字と差が大きければ、非常に大きく動くので注意しておきましょう。投資家の予測している予測値と実際の結果とのギャップは見落とすと大きな損失に繋がります。
確認作業を怠ったから損失がでた….なんて悲しいことはないようにしてください。
雇用統計をFXで活かすポイント②
雇用統計発表時に為替価格が大きく動く理由のもう一つは、それだけアメリカ経済を測る指標として注目されているからです。
景気を表す指標ですので注目されるのは当然ですが、予測値との差があるのが最も重要です。どれだけ予測しても、それはあくまで予測。
確実性がないため、取引自体を控えて無用な損失を出さないようにする投資家が多いです。
しかし、予測値と発表値が大きく離れたときが絶好の取引チャンスと考えている投資家もいます。あなた雇用統計で利益を出したいのであれば、、発表された値はもちろん、「予測」にも注目しなければいけないということです。
雇用統計の為替変動をトレードに活かすには、事前の予想値の確認が必須です。
では、雇用統計の予測はどこで発表されるのか?
これは、ブルームバーグやロイターといった通信社などが、世界中の大手金融機関などから集計したアンケートをもとに、予想値が発表されます。
また、国内のFX業者のホームページでも予想値を掲載しているので、必ず確認するようにしましょう。
雇用統計は事前チェックが重要
雇用統計のことを説明しましたが、いくら雇用統計のことを知り、理解しても予想値や前月の結果、そしてその予想値と結果の乖離から生まれる値動きの大きさを事前にチェックしておかなければ意味がありません。
FXでは取引を始める前に利益が発生するかが決まるほど、事前に取引に対する準備をしているかで左右されます。
それだけ情報収集は投資家に求められる素質だからです。
そして、値動きが大きければ大きいほど稼ぐチャンスがありますが、同時に大きな損失を生む可能性もあります。損失が発生する確率を少しでも落とし、利益を出すために出来る限り雇用統計に備えて望みましょう。
【発表機関】米労働省労働統計局
【発表時期】米国夏時間は日本時間午後9時30分/冬時間は日本時間22時30の発表。
【ポイント!!】米国の雇用情勢を把握することができるため、景気の良し悪しを最も分かりやすく確認することができる。
COMMENTS