FXチャートの基本!! 初心者から上級者まで使う移動平均線を徹底解説

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FXチャートの基本!! 初心者から上級者まで使う移動平均線を徹底解説

FXで取引している世界中の投資家が、外貨為替市場の価格(チャート)を予測するうえで、今日まで使われているテクニカル分析の指標があります。

 

移動平均線と呼ばれるその指標は、一定期間の平均価格を線で繋ぐというシンプルなものにもかかわらず、「今日からFXを始めようとしている初心者」といった素人投資家から、「利益を安定的に出せるようになった上級者」のような専業トレーダーにまで未だに利用されることが多い、世界で一番人気のテクニカル指標といっても過言ではありません。

 

移動平均線は、簡単に使いこなせるうえ、値動きを予測する力も充分にもっているため、これから学び始めるFXトレーダーのテクニカル入門としても適しています。

また、相場状況のひと目で把握できるだけではなく、いつ取引を開始するべきか?という売買サインの発生やトレンドの継続など、使い方や見方を変えるだけで大きく利便性が高まります。

 

今回は世界で最も利用されるテクニカル指標の1つであり、多くの投資家が最初に学ぶ代表的なテクニカル分析の術の1つとして、移動平均線を解説していきます。

 

移動平均線とは何なのか?

移動平均線とは?引用元:自分銀行

移動平均線とは、簡単にひとことで言ってしまえば「過去一定期間の平均価格から導き出された値動きの流れ」です。

冒頭でも説明したように、過去の平均価格を線で結んだだけというシンプルな構造にもかかわらず、相場の状況は客観的に把握することができます。

 

アメリカのJ・E・グランビルによって相場分析に利用することが可能なことが広められ、英語では「Moving Average」と呼ばれています。MT4などの売買ツールなどでも英語表記されていることも少なくありません。

 

計算方法は平均値を求めるだけなので単純。

期間分の終値の和÷総数(期間)=平均値

【例】1本目:50、2本目:100、3本目:150、4本目:200、5本目:250

750(終値の和)÷5(総数)=150(平均値)

 

上記のように算出された価格を点で結んで線として表記したものが移動平均線の正体になります。

 

移動平均線の3つの種類

移動平均線には、先程紹介した計算方法である「単純移動平均線(SMA)」以外にも「加重移動平均線(WMA)」「指数平滑移動平均(EMA)」と呼ばれるの計算方法が異なる種類の移動平均線があります。

 

しかし、代表的な移動平均線は単純移動平均線(SMA)になり、他の2つの移動平均線は上級者向けの見方や使い方をしますので、FXを始めたばかりの初心者の人は単純移動平均線(SMA)から使い始め、慣れてから他の2つも取り入れるようにしましょう。

【加重移動平均線(WMA)計算方法】

加重移動平均は、個々の価格データへの加重を「線形的」に減少させて、平均値を計算します。10日加重移動平均は、直近の価格データを10倍し、その前日の価格データを9倍し、10日前の価格データは、1倍し、合計を55で割ることで算出します。

【指数平滑移動平均(EMA)計算方法】

指数平滑移動平均線は、個々の価格データへの加重を「指数関数的(exponential)」に減少させて、平均値を計算します。

特徴1
最新の価格を2倍することで重視し、N日間の価格の影響も約86%を残ります。それ以前の過去の数字の影響は、単純移動平均線では、全く無くなりますが、わずかに残っており、徐々に消滅していきます。
特徴2
単純移動平均線に比べて、振幅が小さく、反応が早いため、トレンドの分析では、転換点を早めに認識することができます。

引用元:FX・証券取引のマネーパートナーズ 

 

移動平均線をFXで利用するときの見方

移動平均線の見方

移動平均線は見ることによって、相場のトレンドをひと目で把握できるようになります。

値動きを直近で見ていると、他の時間足(長期)の値動きを軽視してしまったり、大きな流れ(長期時間足)に逆らって一時的なトレンド(短期)で相場状況を判断して売買してしまう人も少なくありません。

 

そのため移動平均線のように客観的に値動きの方向を把握しながらも、期間を変更して見ていない長期時間足のトレンド状況も複数の移動平均線を表示させることで把握しやすくなります。

 

移動平均線は平均値を線で表示したものになりますので、平均値よりも現在の価格が高いのか、あるいは低いのかという判断もすぐに判断できます。

  • 移動平均線よりも価格が上にある→買い(ロング)勢が優勢
  • 移動平均線よりも価格が下にある→売り(ショート)勢が優勢

平均を取ることで大きな流れの中で見ることが可能になり、トレンドを掴みやすくなります。したがって、価格(ローソク足)が移動平均線から大きく離れているときは、買われすぎている、あるいは売られすぎている状況の2パターンに絞ることができるので、過熱感を移動平均線から判断する見方をするトレーダーも多くいます。

 

また、値動きに合わせて移動平均線は動くため、急激な値動きには移動平均線も追従するように急角度になります。

角度(勢い)で突発的な値動きの強さや継続的なトレンドの強さを確認するといった見方も移動平均線にはあり、見方を変えると色々な状況に応用が効く強力なテクニカル指標が移動平均線になります。

FXでの移動平均線の使い方

移動平均線の使い方

FXで移動平均線は、トレンド(方向性)の把握や勢いの強さを瞬時に確認することができます。

しかし、実際に移動平均線を将来の値動きを予測するため、分析ツールとして使う場合にはどのように使っていけばいいのか。

 

これは移動平均線を使っている投資家によって異なる場合もありますが、4つの基本的な使い方に絞ることができます。

  1. ゴールデンクロス
  2. デットクロス
  3. 支持線(サポートライン)
  4. 抵抗線(レジスタンスライン)

この4つの使い方は、値動きを予測するための使い方だけではなく売買を始めるタイミングの売買ポイントとしても使われます。

 

FX初心者の人は、この4つの使い方を覚えると基本的な移動平均線の活かし方は充分身につけることができるので、ぜひ覚えるようにしておきましょう。

ゴールデンクロス

ゴールデンクロス

ゴールデンクロスは、FXや株など投資業界において有名な売買サインの1つです。

為替価格が上昇した後に短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上に抜ける現象のことを言います。

 

日足の場合は短期が25、長期が75の期間のものを使うことが多く、週足では13、長期が26の期間で表示されることが多くあります。

 

トレンドの発生を見分けて大きな流れが発生するときに見られることが多いこの現象は、FX投資家にとってはおなじみの売買サインです。

短期移動平均線が長期移動平均線をうわ抜けたタイミングを「買いサイン」と判断し、買い(ロング)エントリーで売買をスタートさせるエントリーの基準になる買いのポイントです。

 

デットクロス

デットクロス

デットクロスはゴールデンクロスと対になる売買サインの1つで、為替価格が下降した後に短期移動平均線が、長期移動平均線を上から下に抜ける現象のことを言います。

 

値動きが大きく下がり始めたタイミングで頻繁に見られるこの売買サインは、売り(ショート)エントリーで売買をスタートさせるエントリーの基準になる売りのサインになります。

 

支持線(サポートライン)

支持線(サポートライン)

移動平均線は投資家の心理状態が秘められており、将来の値動きを左右する重要な節目になることも少なくありません。

 

例えば、為替価格が上昇し続けているような強いトレンド相場の場合、投資家達の心理は「できるだけ安いところで買いで入りたい」と考えている人が占めます。

 

そのような心理状態のなかで、過去の値動きで短期移動平均線まで価格が下降すると、移動平均線付近に近づたいタイミングで反発して上昇する動きが頻繁に発生します。

 

これはできるだけ安く買いたい投資達が多くいることの証拠でもあり、そのように移動平均線に近づくと、再度上昇しようと反発する値動きを見せる効果を持った移動平均線のことを「支持線(サポートライン)」といいます。

 

MT4などの売買ツールで斜めに線を引くトレンドラインでも、同じような効果を持ちますが、トレンドラインと同様にいつまでも投資家達が買い続けるわけではなく、「移動平均線を下回ったからもっと下がるかもしれない」という不安が広がり、売りに転じて大きく下がるタイミングも必ずくるので注意しましょう。

 

抵抗線(レジスタンスライン)

抵抗線(レジスタンスライン)

抵抗線(レジスタンスライン)は、支持線とは逆で為替価格が下降している時の移動平均線が持つ効果です。

 

値動きが下降を続けているタイミングで、上昇する力を抑えつけるように再度下降に転じ、反発するように再度下降する動きが頻繁に発生します。

 

こちらもトレンドラインと同じ効果を持っていますが、値動きが上昇し続けている上昇トレンド同様、抵抗線(レジスタンスライン)も下降トレンドが継続しているタイミングで効果が最も強く見られます。

 

トレンドが続く限り反発する力を持っていますが、ずっと下降トレンドが続くということはなく、抵抗線として意識されていた移動平均線を価格が超えると、「視界良好」といった見方に繋がり、上げ幅を拡大する可能性があり、買いに転じて大きく上がるタイミングも必ずくるので注意しましょう。

 

移動平均線は異なる期間で複数表示させる

移動平均線を取引で利用する場合、1本だけではなく短期と長期といった異なる期間で複数本表示することで、より効果を発揮します。

もちろん、短期と長期の2本だけではなく、短中長期といった3本表示させたり、さらに4本、5本と複数表示させる投資家もいます。

 

ただ、あまりに多く表示させすぎても意味がありませんし、移動平均線の力を引き出すことも難しくなるので、欲張らずに最大でも3本までに留めておいてください。

 

移動平均線は、複数の期間で表示させる投資家が圧倒的に多く、組み合わせることで重要なシグナルを判断することができます。

その際たる例であるゴールデンクロスとデットクロスは、移動平均線の代表的な売買サインですが、短期が長期をうわ抜ける(した抜ける)現象は、他のテクニカル指標でも同じように売買サインとして効果が見られます。

 

1本だけでも支持線(サポートライン)、支持線(レジスタンスライン)として素晴らしい威力を発揮しますが、長期移動平均線のほうが反発の反動も大きいものになるので、移動平均線を表示させすぎて意識が移動平均線にばかりいき、値動きに一喜一憂しないようにしましょう。

 

FXで勝つためにも移動平均線の弱点を理解しよう

移動平均線の弱点

移動平均線はシンプルに相場状況を把握し、売買サインでエントリー基準も決めることができるため、今でも初心者から上級者まで幅広く利用されているテクニカル指標になります。

 

移動平均線がテクニカル分析の基本とされるのは、他のテクニカル指標に移動平均線の考え方を応用されて使われているためです。そのため、ゴールデンクロスやデットクロスなどの売買サインも似ているのですが、そんな基本となるテクニカル指標である移動平均線にも弱点が存在しています。

 

良いことだけではなく、弱点にも目を向けて対策を考えておかなければ、実際にあなたの資金が絡んだ取引では大きな判断ミスをすることにもなりますので、しっかりと移動平均線の弱点も理解しておいてください。

 

FXで売買サインのシグナルが遅れる

移動平均線は、価格の変動に対して遅れて表示されます。

そのタイムラグは移動平均線で設定している期間が長ければ長いほど遅延されますが、シグナルの発生に必ずタイムラグが表示されるということは、売買サインが発生したときには既に値動きが大きく傾き始めているのでトレンドの動きに対応するのが遅れることを意味しています。

 

移動平均線は、その計算方法から一見シンプルで見やすいですが、過去の終値の影響を直接受けるので、常に値動きを後追いして変動し、相場に先行することのないテクニカル指標になります。

なので、移動平均線だけでは相場の行方を予測することは非常に難しく、値動きの結果がどのような相場上になっているのか確認する指標であるということを理解しておきましょう。

 

ちなみにタイムラグという移動平均線の弱点を克服しようとした移動平均線が、加重移動平均線(WMA)や指数平滑移動平均線(EMA)といった直近の値動きにおもむきをおいて計算された移動平均線になります。

 

売買サインに潜む「ダマシ」という魔物

移動平均線のだまし

移動平均線は価格に対してタイムラグがあるため、トレンド発生を見分けるのが遅れるというのは先程お伝えしましたが、その値動きに連動してるため、トレンドが発生せずに戻ったしまったり、値動きに上昇・下降に傾いていないレンジ(ボックス)相場の場合価格に追従するように動く移動平均線が何度も上抜けたり、下抜けたりといったトレンドの発生しない売買サインが発生してしまうことがあります。

 

このように一度ゴールデンクロス、デットクロスしたにもかかわらず、トレンドが発生せずにもとの水準に価格が戻ってくることを「ダマシ」といった言い方をFXではします。

 

ある意味、移動平均線の売買サインがダマシかトレンド発生のシグナルのどちらなのかを見極めることができれば、利益を安定的に出すことができます。

 

そのためにオシレーター系の指標など他のテクニカル指標と合わせ、移動平均線と併用して取引に利用している投資家がFXでは多く存在しています。

 

移動平均線を使うにあたって

チャートに表示される移動平均線には、2つの意味があります。

1つ目は、価格変動の傾向を示す指標

2つ目が為替市場における値動きの平均価格です。

 

平均価格は為替価格の水準が高いのか、低いのかの判断基準になりますし、細かい値動きにとらわれることがなく、客観的に値動きの方向性や勢いを移動平均線を使うことで確認することができます。

 

移動平均線の上と下どちらに価格があるのかで、「買い勢」と「売り勢」の優劣を把握することで、投資家の心理状態を読み、支持線・抵抗線といった値動きの反発を確認することでトレンドの継続性や市場に参加する売買行動を発見する材料ともいえます。

 

上級者まで使うのは、ひと目で相場状況を把握できるからこそなのですが、FX初心者ほど移動平均線を軽視して利用する人が多く、表示させるだけで分析に利用していない投資家も少なくありません。

 

基本ができていない投資家は、応用的な分析はとてもではありませんが不可能です。

テクニカル指標の基本だけに簡単ですが、取引においては非常に頼りになる相棒ですので、長所(メリット)と短所(デメリット)をしっかりと理解して、分析のために使っていきましょう。

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