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アメリカ(米国)のFOMCってなに? 初めてでもわかるFOMC

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FOMCとはFederal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略称で、日本における「日銀金融政策決定会合」や、EUにおける「ECB政策理事会」にあたります。

会合や金融政策なんて文字を見ると一気に難しく感じる人も多いと思います。

 

しかし、FXで取引している投資家にとっては為替レートが大きく変動する可能性があり、短期から長期間ポジションを保有しているトレーダーも必ず目を通すほど重要な経済要因です。

 

ある意味、FOMCさえ見落とすことがなければ大きな為替変動に一喜一憂したり、余計な損失を発生させることもなくなります。

今回は、そんな最も重要な経済要因の1つであるFOMCがどういうものなのか説明していきたいと思います。

 

今まで重要だという認識はあるもののよく分かっていなかった人や、「そもそもFOMCって何?」という人は、これを機にFOMCがどういうものなのか理解しておきましょう。

 

FOMCとは米国の金融政策を決定する会合

FOMCとは米国の金融政策を決定する会合のことであり、年に8回開催されます。

現在の景況判断と政策金利「フェデラルファンドレート(FF金利」)の上げ下げなどの方針が発表され、その結果が市場の結果と大きく違った場合には、為替レートが大きく変動することがあります。

 

金融政策が変更になったときには、ものすごく為替レートが動きます。

それも全通貨で動きます。

市場予想通りの予想になることもありますが、大きく違った場合には大きく動くことになりますし、必ず見ておかなければいけません。

 

これもやはり予想と結果のギャップの「サプライズ」に注目することが必要なのですが、ほんとに大事なのは金利の変更はもちろん、プロが毎回注目しているFOMC政策金利発表後の声明文です。

1枚のサマリー(概要)が出てきて、ここ毎回の結果とともにそこに至った経緯、誰が賛成で誰が反対化などが書かれています。市場参加者(投資達)はそこから次の展開(為替価格)を予測するわけです。

 

FOMC政策金利の金利設定理由も公表される

上記画像はFOMCで結果発表後、実際に出た声明文(日本語訳)です。

個人消費、住宅、雇用、そして結果に対する判断材料などすべてがここに書かれています。

その中でも注目しておくのが、キーフレーズ。

例えば、現在と違い数年前のアメリカは低金利が続いていた際に、ほぼ毎回のように「長期間にわたり異例の低金利を正当化」というフレーズが頻繁に出現していました。

これを読むと「まだまだ金利は据え置かれるだろうな」と予測することができますし、声明文章で「あとしばらくの間」などのフレーズに変化があると要注意です。

つまり、いつもと違う報告内容(キーフレーズの変化)を重点的に確認しておくわけです。

プロはキーフレーズの違いから次回のFOMCの予想を立てます。

→各経済指標の結果とFOMC予想全文(PDF)

出回るお金の量を調整して経済を良くする政策

FRBには2大命題が与えられています。

  1. インフラの制御
  2. 雇用の最大化

当たり前の話になりますが、これは相反するものになります。

インフレとは物価が上がる(通貨の価値が逆に下る)ことであり、景気が良いのは確かに素晴らしいことですが、物価が上がりすぎるのはよくありません。そのため、FRBは物価を安定させようとします。

 

しかし、好景気によるインフレの制御をしようとすると発生する問題が、雇用が抑えられるという点です。

要はそのバランスを考えることがFRBの役割で、その手段として金利の調整を行います。

 

インフレの際には金利を上げておき、お金を借りにくくする。逆にデフレのときには金利を下げて「沢山お金を借りてお金を使ってもらう」という状態にするわけです。

 

FRB(エフアールビー)とは?

FRB(The Federal Reserve Boardの略)は、日本における日銀と同じでアメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関です。日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます。連邦準備理事会は、7名の理事から構成され、FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。

 

景気をコントロールする政策金利は最も重要

政策金利は各々の国によって異なります。

景気の良い国は金利が高くなりますし、景気が悪い国は景気が悪くなります。

金利を見れば、その経済状況がするにわかると言っても過言ではないといえるでしょう。

各々の国がそれぞれの金融政策によって、経済を「良い状態で安定させよう」と考えています。

 

そして、国によって金融政策の特色は変わっており、アメリカは「景気が良くしたいけどインフレは抑えたい」と考えるバランス型。これに対して欧州はインフレ制御を重視しています。

なぜなら、第一次世界大戦でハイパーインフレを経験しているからです。

ちなみに日本は伝統的に景気重視型になります。

 

金融政策は何をする?

国の経済政策には「金融政策」と「財政政策」の2つがあります。

 

「財政政策」は政府が行うもので、税金を減らしたり公共事業を増やすことで景気回復をはかります。

一方で「金融政策」は、中央銀行が不況時に金利を下げたり、お金の量を増やして景気回復を図ります。バブルのときには当然逆になりますが、金融政策の目的は国全体のお金のバランスを操作して景気のコントロールをすることになります。

なぜ金利が変わらなくても為替が動くのか?

金利発表後は為替レートが変動します。

この理由は金利水準に変化がなくても、発表時の声明内容などに細かい変更点があり、その後の金融政策の予測が変化するためです。

世界の投資家達がFOMCに注目しているように、あなた自身も発表声明された内容と予測データに目を通して長期保有など安定して資産の構築ができるように経済の事がわかる投資家になりましょう。

 

 

FOMCで投資家はどこに注目しているのか?

FOMCが発表される際に、世界の投資達は大きく3つに注目しています。

  1. 金利の結果
  2. キーフレーズ
  3. 反対者数

この3つの注目し、発表後はどのように値動きが動くのかを予想しています。

では、実際により細かく説明していきたいと思います。

金利の結果

FOMCの発表では、金利の結果に注目が集まります。

事前に「金融政策の変更があるのでは?」という観測が高まっていた場合にはなおさらで、1週間前辺りから市場予測値が出てきます。

場合によっては景気緩和など金利以外にも注目すべき時もあります。

 

キーフレーズ

既にマーケットが利上げ、または利下げを実施し、なおかつどれぐらいの利上げ(利下げ)になるのか、その値幅まで織り込んでいる場合には、利上げ・利下げという結果だけでは為替レートは反応しません。

ただ、そんな場合にも「声明文」に注目が集まります。

 

声明文には「キーフーズ」があります。例えば2009年3月に発表された声明文では、金利は「しばらく」低水準を保持という表記がありましたが、その次の4月に発表された声明文では「長期にわたり」低金利政策が妥当という変更がありました。

 

これで「おそらくこの先、当分の間は政策金利は低いまま据え置かれるだろう」と市場参加者は読むというわけです。実際にその後も毎回「長期にわたり」低水準を維持という文言が声明文に出てきています。

もし、「長期にわたり」が「もうしばらく」といったぐらいに変われば、「そろそろ利上げも視野に入ってきたかな?」と推測できます。もちろん、変わったときには為替変動に響きます。

つまり、声明文から次のFOMCを見通す。

アメリカの今後の金融政策の方向性を探るというわけです。

 

反対者の人数

FOMCの参加者は、FRBの議長を含む7名の理事とNY連銀総裁1名、地区連銀総裁4名の合計12名えす。毎回、ほぼ全会一致で議長の提案が可決されますが、たまに反対者も出てきます。

ちなみに先程の「低金利の長期化がゆがみを生む」として、金利の据え置きに反対している連合総裁もいます。

このように、FOMCでは必ずしも会合一致するわけではなく、別の見通しで反対者が出ることもあり、12名で行うFOMCで反対者の意見や予測もしっかりと確認することは、今後の展開のためにかなり重要になりますので、見逃さずにチェックしておきましょう。

おわりに

経済というのは複雑で難しく感じますが、1つ1つ紐解いていくとだんだん分かってきます。

FRBは日本でいう日銀、FOMCの声明は日銀総裁が金融政策を発表します。

今回説明したFOMCは、全通貨に影響を及ぼす経済要因であり、投資家であれば必ず目を通すべき判断材料の1つです。このような経済要因をもとに値動きを予測することをファンダメンタルズ分析と呼びますが、ファンダメンタルズを正しく行える投資家は非常に少ないです。

 

それは金融教育のない日本では当たり前かもしれませんが、学生時代に習った内容を忘れていたり、知識としてだけで理解できていないことも原因です。しかし、今後FXで長期的運用で資産を構築したり、短期的に大きく儲けようとするのなら、全体の流れに乗って大きく稼いだほうがはるかに効率的です。

 

そして、FOMCは為替市場の短期から長期の価格変動に大きく影響を及ぼしますので、ぜひ確認を怠らず、少しずつで良いので発表された内容などから経済を読み解く力を身に着けましょう。

FXで稼ぐということはもちろんですが、経済やお金の流れを読めるようになることは投資家としてだけではなく、日常生活においても価値の変動を機敏に気づき、得をすることもできます。ニュースでも経済の事は常に情報が発信されていますし、「今日の米ドル価格は…」と意識するだけでかなり為替市場は溢れかえっています。

FOMC以外の経済指標も理解していき、景気やお金の動きを見ることでテクニカルと合わせて分析を行える投資家、そして継続した利益を発生させていける投資家になりましょう。

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