サラリーマンを中心として不動産投資で資産形成を行おうと考えている人は多くいます。しかし、もしも不動産投資を始めて失敗してしまうと、取り返しのつかない事になってしまう可能性もあります。例えば、家賃収入が入らずに借金だけが残ってしまったり、誰にも売れない物件を契約して賃貸管理の負担を負い続けたりと、一度不安を覚えてしまうと中々一歩が踏み出せずに居るという人もいるはずです。
ただ、単純に不動産投資に失敗してしまう最も大きい理由は知識不足からきています。例えば、不動産業者に騙されて実際に利回りはもっと低かったり、将来的な不動産価格の予想と全く違うことで付加価値を付けられて魅力を感じたりなど、情報を判断するための知識やローン返済におけるバランスといった知識がなければ、最終的には自己責任ですべての負担を背負うことになりかねません。
不動産投資には様々なリスクがあり、「空室リスク」「修繕のリスク」「金利のリスク」など知っておくべき内容を理解せず、対策もしないまま不動産業者に言われるがまま契約してしまいえば、あなたは不動産投資で失敗するでしょう。
しかし、もしも不動産投資のリスクを充分に理解し、実際に失敗している人達が陥ったミスを事前に知ることができれば、未然に失敗防ぐことができるため不動産投資で失敗する可能性を抑えることが可能です。
今回の記事では、そういった不動産投資での失敗事例と初心者が失敗しないための対策方法について解説していきます。もしもあなたが不動産投資を始めようと検討しているのであれば、何度もこの記事を見直して「やってはいけないこと」を確認しつつ、予め身につけておくべき知識を身に付けておきましょう。
不動産投資で実際に起こった5つの失敗事例
失敗事例①大学の転移により賃貸需要が減少
【40代会社員Iさん】
物件タイプ:1Kマンション
築年数:30年
まずは最初の事例は、景気や会社の状況から別の収入口がほしいと考えた40代のサラリーマンのIさん。Iさんが契約した物件は大学の近くにある物件で、駅から多少離れていたものの防犯性の高さから女子学生を中心に賃貸需要を期待していました。
立地は東京圏ではありますが、郊外よりだったため賃貸は東京の平均賃貸である約6万円程度。約8%の利回りを狙った不動産投資でした。中古物件のほうが一般的に購入価格を抑えることができるため、築30年だとしてもマンションへの投資自体は悪くなく、一人暮らしを考えている学生の賃貸需要を見越して賃貸料は安定するだろうと考えて契約したそうです。
契約して最初の数年は予め考えていた通り空室期間が発生することなく、入居者はほぼ100%で満足していたそうです。
しかし、4年程度過ぎたあたりで大学が転移を発表しました。不動産業界でも少子化による不動産需要の全体的な低下が危惧されていますが、この大学も少子化によって定員割れが増えてきており、学生から敬遠される傾向の学部を都心へ移動させ、キャンパスには一部のみを残すと学校側が発表したそうです。
その影響で大学周辺に住んでいた学生、数年後に入居者候補になる予定だった学生も離れていってしまい、考えていた学生の需要が減って翌年からの入居者もわずかになってしまいました。その投資物件を決めたのは学生の入居需要があったためですが、駅から少し離れて利便性が良くなかったこともあり、一気に入居者探しに苦労するようになったそうです。
また、学生が大多数だったことで3月まで入居しており、内覧時期が4月からとなっていたことも入居者を上手く見つけられなかった要因です。この結果1年近く空室になるという事態が発生し、その時の利回りは0%でローンの返済に苦労する事となって投資物件を売却したそうです。
ただ、大学の転移によって需要が減った物件は購入希望者も少なく、最終的に購入時の価格の3分の1程度でしか売却できないで不動産投資を終えたとのことです。
①利回りだけで購入を決めた
②入居需要を特定の学校のみに絞った
失敗事例②営業マンの勧められるまま契約数を増加
【30代会社員Aさん男性】
物件タイプ:1Rマンション
築年数:新築
2つ目の事例は、関西を中心に不動産投資を行う40代の会社員です。このAさんは、老後のために資産形成を考えて始めたのが不動産投資で、そのときにワンルーム不動産業者から新築のワンルームマンションを購入。
収支のシュミレーションを考えてみると毎月1万円ほどの赤字になっていましたが、収入が大きかったこともあり「ローンさえ返済してしまえば資産になりますし、老後の時には安定した副収入になるのでオススメです。」という営業マンの言葉を信じて最終的に契約を決めたそうです。
しかし、1室目を購入した後でも資金が余っていたため業者に相談すると、「老後の収入をさらに増やすための保有室数を増やした方が良い」といわれ、関西や博多などの都市部を中心にさらにマンションを購入。最終的には9室を保有したようです。
ただ、新築のワンルームマンションだったため入居者が退去するたびに賃貸が大きく下落し、赤字額は保有している室数の多さから毎月20万円。そこで大きなキャッシュフローを得られる中古の一棟不動産を検討したようですが、既に多くの額をローンで借りていたこともあり、中古物件の融資ができずに毎月大きな赤字を負担することもなったようです。
不動産投資の基本は月々の賃貸収益から黒字を重ねていく長期的な投資です。老後に備えて不動産投資の運用をすることは問題ありませんが、営業マンの甘い言葉に乗って資金巡りがキツくなるほど契約しては生活にも影響する可能性があり、最終的には購入物件をすべて手放してもローンが残ってしまうことになってしまいます。
①価格が下がる事が多い新築を購入
②営業マンの言われるがまま契約してしまった
失敗事例③物件の状態を把握せずに価格の安さで購入
【50代会社員Kさん】
物件タイプ:2DKのマンション
築年数:20年
もともとアパートを1棟所有していたKさんは、安定した収益を得ていたこともあって2件目の物件を検討していました。アパートの次は都心のマンション投資を行おうと考えていたものの、地域がら物件価格が高く、実質利回りも計算してみると5%いけば良い方だったそうです。
そのため、なかなか自分が思うようなマンションを見つけるけることができずに悩んでいたところ、注目したのが競売物件での不動産投資です。競売物件とは、ローンの返済が滞った人や税金の未払いなどのよる債権で裁判所が売りに出す物件です。
Kさんは本で不動産投資のことを勉強したり、不動産業者に務めている知り合いに聞いて繁華街近くに建っている2DKのマンションを2000万円で契約したそうです。その繁華街の相場が2500万円前後だったので、約500万円程度安く購入することができた状況です。
中古物件なうえ繁華街近くにあったため利回りも期待でき、毎月15万円程度の賃貸収益を見込んでいたようです。しかし、実際に購入してみると返済が滞った人が住んでいたこともあり、残置物や溜め込んだゴミなどが山のようになって酷い状態だったそうです。そして、室内の内装も汚れや傷が酷く、壁紙の交換やフローリングの張り替えの必要があったりなど、賃貸で出すにはかなりの修繕費用が要したとのこと。
内装や設備を含めてフルリフォームすることになり、500万円以上経費がかかったので結果的に相場よりも高い出費になってしまいました。これでは競売で安く購入した意味はありませんし、心理的な疲労感が残るだけでしょう。
フルリフォーム後も管理しなくてはいけませんが、最終的に嫌になってしまったIさんは、管理費や仲介手数料、税金などを無駄にすることになりますが物件を売却したそうです。
①物件価格にだけ注目してしまった
②物件の下見や状態を把握してなかった
失敗事例④シミュレーション不足による想定利回りのミス
【30代会社員Dさん】
物件タイプ:ワンルームマンション
築年数:20年
30代会社員のDさんは、知り合いから紹介された不動産業者から中古のワンルームマンションを購入。利回りは7%で月々の家賃収入は10万円程度得られるということで購入を決めたようです。しかし、実際に契約して不動産投資を始めてみると、確かに家賃収入を得られるものの、「ローンの返済」「管理費」「修繕積立金」「固定資産税」「保険費用」と経費を支払うことを考えていなかったため、発生したキャッシュフローは雀の涙程度になってしまいました。
物件を契約する当初は不動産業者が紹介していた利回りで考えていたため、諸々の経費を引いた実質利回りをシミュレーションをしていなかったことが大きな痛手となったわけです。また、退去が発生した際には減少回復費を数万円単位で支出しなければならないため、最終的な収支は数十万円のマイナス。
不動産投資で初心者がよくする失敗の1つですが、実際に手元に残る家賃収入がいくらになり、最終的に目標としている資産額はいくらなのかをシミュレーションしていなければ、想像と全く違った利回りになることも多くなってしまいます。実際にそういったよくあるミスをしてしまったDさんは、投資額の大きさと支出のマイナスから、資産構築においてかなり大きな躓きをしてしまうことになりました。
①契約物件のシミュレーション不足
失敗事例⑤家賃滞納により想定していた以上の費用が発生
【20代会社員Aさん】
物件タイプ:ワンルームマンション
築年数:10年
中古物件ではありますが、築年数は10年で外見や内装が綺麗なワンルームを購入したAさん。事前に不動産投資に関しても調べ、立地に関しても問題なかったため利回りは6%程度と予測していました。「修繕費」や「固定資産税」「ローンの返済」などを考慮しても、最悪お小遣い程度の金額は残るうえ、最終的に老後までに1つの財産に出来れば良いという考えで契約したようです。
最初の2年は順調に想定利回りを維持しながら利益を得ていたそうですが、前の入居者が退去し、すぐに決まった新規の入居者。管理会社がきちんと審査したにも関わらず、3ヶ月目から家賃を滞納する事態が発生しました。
焦ったAさんはすぐに管理会社に連絡、入居者に連絡してもらいましたが、滞納した金額を含めて入居者が家賃をなかなか支払わず、サブリース契約をしていなかったこともあってその後すぐに赤字転落してしまう状態になりました。
最終的には弁護士に依頼して建物の明け渡し訴訟をして退去させましたが、その際にかかった費用は弁護士費用を含めて200万円程度。今まで得ていた家賃収入を含め、自らの貯金まで削ることになってしまったAさんは、事前に学んでシミュレーションしたつもりでも、「もしも」のリスクに備えることを怠ってしまったことがこの問題に繋がったと理解したそうです。
①万が一のリスクの備えた対策不足
事例から学ぶ不動産投資で多い失敗への対策
ここまで実際の失敗例を5つ紹介しましたが、中には予測しずらいリスクもありました。ただ、事前に基本的なことを抑え、リスクに備えることができれば、これらの失敗例は未然に防ぐこともできたはずです。
特に今回多かった失敗例から考える、学ぶべき教訓は以下でしょう。
- 表面利回りではなく経費を含めて実質利回りを考える
- 事前に物件の状態と立地から需要と把握する
- 返済計画を含めたシミュレーションとリスクへの備え
もちろん、不動産投資で発生する失敗はこれだけではありません。ただ、これらを意識しておくだけでも大きく失敗する可能性を軽減することができるはずです。特に不動産投資は現物資産であり、長い時間を用いた長期投資です。
そのため、数年ではなく数十年先も見越したうえで発生する経費や問題に備え、物件を実際に契約しないとしても1つ1つ下見して情報を集めなくてはいけません。
しっかりと対策して行動すれば何十年とあなたに利益を運んできてくれるのですから、手間に感じるかもしれませんが丁寧な見聞とシミュレーションで、最低でもこれぐらいは利益は発生するだろうという想定と目標資産に向けた具体的な計画を考えておきましょう。
まとめ
今回は不動産投資での失敗事例から事前に考えるべき対策方法をお伝えしましたが、動産投資は長期的な視点で地道に利益を発生させる資産運用です。その事を忘れずにポイントを押さえてリスク対策できれば、失敗する確率はそこまで高くありません。
ただ、不動産業者などの営業マンの話を鵜呑みにしすぎて言いなりになったり、計画のない投資というのは失敗することが多いため、常に危機感を抱いておくことも重要です。
不動産での売買では、不動産の知識だけではなく金融や市場価値の情報といった幅広い知識が必要となることもあります。専門知識も多いため、基本的なことさえ知らなければ、美味しい話ばかりを鵜呑みにしてその中にある真実に気づかないことになってしまいます。
その結果、今回紹介したような事例に遭遇してしまう初心者も多くなっています。また、不動産の営業マンの中には利益が発生しない物件を上手く購入させたり、詐欺まがいなやり方で販売しようとする業者も少なくありませんので注意しておきましょう。
今回お伝えした失敗事例からよく考え、ポイントを押さえておくことで、不動産投資で失敗する確率を大きく減らすことができます。もちろん、投資に確実はないので絶対損しないわけではありません。しかし、万が一に備えることで、発生するかもしれない費用を大きく抑えることは可能です。
そうすることで最終的に発生する家賃収益の方が大きくなり、自然と不動産投資の利回りを大きくすることができるわけです。もしもあなたが実際に不動産投資を始めようとする際には、この記事を何度も見直して投資物件の注意点やシミュレーションを見直してみましょう。
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