不動産投資で理想の利回りは何%?物件特徴ごとの基準利回り

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不動産投資で理想の利回りは何%?物件特徴ごとの基準利回り

前回の記事では、不動産投資を行う際に初心者が知っておかなくてはいけない「利回り」の解説をしました。利回りとは、投資した投資額に対する収益割合を表したものですが、不動産投資では物件の収益力を見る指標として判断基準の1つに利用されることが多くなっています。

 

これは計算も簡単でありながら投資物件で本当に収益化できそうかを確かめるための方法で、初心者でもすぐに確認することができるためオススメです。ただ、実質利回りで利益が出そうな物件をというのは意外と見つかりません。というのも、安定的に利益を出せるお宝のような物件というのは、なかなか見つからないうえに競争率が高いからです。

そして、この利回りは単純に高ければ高いほど良いのかわからないという人も多いと思いはずです。

 

そこで今回の記事では、不動産投資での利回りの相場を解説しつつも、理想的な利回りは何%なのかをお伝えします。

 

投資物件で利回りが高いと思っていても、その地域や建物の特徴で考えると「もっと高い利回りを実現することができた」なんてこともありえますし、不動産における平均的に利回りを知らなければ物件の良し悪しも判断できませんので、ぜひ知っておきましょう。

不動産投資における利回りの平均と傾向

投資物件の種類

不動産投資と一言でいっても「区分マンション」「アパート」「戸建て」と種類があり、物件の特徴の違いによっても利回りの相場は異なります。これは、建設にかかる費用やその地域の地価や間取りも異なるためです。

 

かといって全て地域の地価や建設費などを調べては膨大な量の情報になりますし、何より都市部(東京)や地方とでは平均的な利回りも大きく異なるため、参考にならないことも少なくありません。ただ、実際に不動産投資において投資物件の利回りが高いのか低いのかという判断をできるようになるためにも基準となる目安を知っておくのは必要なことです。投資物件の候補を見つけた際に、比較して考えることができるように大凡で良いので利回りの平均相場を把握しておきましょう。

 

まずは不動産投資において平均的な利回りの相場をお伝えしたいと思います。「区分マンション」「アパート」「戸建て」の利回りに関しては、以下になります。

物件タイプ 表面利回り
区分マンション 3%~4%前後(新築)、6%前後(中古)
アパート 6%前後(新築)~8%前後(中古)
戸建て 8%程度(新築)~16%(中古)

比較してみると、表面利回りですが「戸建て」の平均利回りが16%と最も高いことが分かります。次いで「アパート」が「戸建て」の数値としては半分の8%です。平均利回りが高くなる傾向としては、投資物件の価格を抑えることができる中古物件が利回りが高い傾向にあります。

もちろん、中古物件ですので実質利回りで計算してみると、修繕費やリノベーションによる諸々の経費でさらに実際の利回りは下がる可能性が高いですが、それでも中古物件の方が利回りが高い傾向を考えると、立地などの条件次第で長期的には下がる可能性のある賃貸料を維持することができるということでしょう。

新築物件と中古物件だと利回りはどちらが高い?

投資物件の違い

先程お伝えした平均利回りの違いでも分かったように、不動産投資では新築物件の利回りは低い傾向にあり、逆に中古物件の方が利回りは高くなるといった特徴があります。その理由は、新築物件と違って中古物件では物価価格を抑えられる可能性が高いためです。

次は新築の投資物件と中古の投資物件で、どれぐらい利回りが違うのかとそれぞれの利点をお伝えしたいと思います。

新築の投資物件

新築物件の利回りは中古物件よりも低いのが一般的になっており、目安の基準となる利回りはしては3%〜5%となっています。新築物件では購入費用が高いことから利回りが低くなってきますが、新築物件の場合には購入してから修繕費などのメンテナンス費用が抑えられるうえ、新築ということで入居者も集まりやすい傾向にありますので、空室リスクなども抑えることができます。

長期的な視点で見てれば初心者でも安定した家賃収入を得ることがメリットの1つであり、実質利回りを求める際の修繕費や入居広告などの諸経費を抑えることができるといった利点が強みといえるでしょう。

中古の投資物件

中古物件の目安となる基準の利回りは4%〜10%程度です。中古の投資物件が新築よりも高い利回りになる理由として、新築物件よりも購入価格が抑えられるためです。築年数を経るごとに中古物件では得られる利回りも高くなりますが、収益を得られる年数は当然新築物件よりも短くなることが多いため注意しておきましょう。

中古物件では新築物件と違って修繕費などのメンテナンス費用が必要になるうえ、空室リスクを下げるための入居者への広告や家賃を下げたりといった工夫も必要です。そういった部分を考えると、購入価格は抑えられますが慎重に物件を選ぶことが重要になってきます。

 

そして、中古物件では細かい情報も見ていきながら長期的に分析していくことになるので、ある程度の知識や経験を要する場合も多々ありますが、初期費用をだいぶ抑えることができるのが大きな利点です。

 

不動産投資の基準となる地域別の利回り

地域別不動産利回り

不動産投資での利回りは地域によって違います。これは、前述で説明したように物件価格や築年数、最寄り駅からの距離や建物の構造など、様々な項目が影響してくるためです。

例えば、全国でも家賃が高いことで知られている東京では、物件価格が高いため地方と比べて利回りが低い傾向になっています。家賃が高い方が利回りも高くなりそうだと感じるかもしれませんが、都市部ではそれ以上に地価や建設費用などが強く影響するため、地方と利回りの違いを知って考えて精査していくことは大切です。

全国の利回りを比較すると約5%が一般的

東京は資産価値が高いですが、同時に不動産価格も高くなるため全国の中でも利回りが低い地域になります。日本不動産研究所の「不動産投資家調査の調査結果」では、ワンルームタイプとファミリータイプの期待利回り(「購入後に期待される家賃年収÷不動産価格×100」で求められる数値)が以下のようになっています。

主な政令指定都市の期待利回り
令和3年10月 東京 札幌 仙台 横浜 名古屋 京都 大阪 神戸 広島 福岡
ワンルームタイプ 4.0% 5.3% 5.3% 4.5% 4.8% 5.0% 4.6% 5.0% 5.5% 5.0%
ファミリータイプ 4.2% 5.5% 5.5% 4.8% 5.0% 5.1% 4.7% 5.1% 5.6% 5.0%

最も低いのは、ワンルームタイプが4.0%でファミリータイプが4.2%の東京だということが分かります。また、東京を除けば大阪と横浜が同じ水準で5%を下回る数値となっており、東京よりも高い利回りではありますが、それでも他の都市部を比較していくと東京での不動産投資は初心者にはかなり難しい環境や利回りでもあると分かるはずです。

地価の高い主要地域は物件価格も必然的に高くなってしまうため、5%前後が一般的と考えておきましょう。

もちろん、上記にない地域への投資物件を探すのも良いですが、あまりに田舎すぎる場所だと入居者を探す事自体が大きな課題になりますので、利回りだけではなくあなたの求める条件や環境に当てはまる地域から判断するようにしましょう。

 

不動産投資の相場から考える理想的な利回り

理想の利回り

利回りの高さは収益の多さを意味するので嬉しいですが、高ければ高いほど良いというものではありません。特に不動産で物件情報に掲載されている利回りは表面利回りの場合が多くなっていますので、物件を維持するための修繕費や空室期間の損益などが考慮されていないことを意識しなくてはいけません。

また、前途で地域別の利回り相場を説明しましたが、利回りは家賃収入があること前提としているため、当然入居者がおらずに賃貸収入が入らなければ利回りが0%になる可能性もあり得ます。

 

例えば5000万円の投資物件を頭金なしで購入し、表面利回りが5%だと仮定して考えてみると年間の家賃収益は300万円になります。ただ、ここで金利2%の不動産ローン5000万円を返済期間35年で契約すると年間の返済額は約240万円となり、表面利回りで発生する金額は年間で60万円だと分かりました。

これは表面利回りで分かった金額になるため、次は投資した不動産の管理を管理会社に委託した費用や修繕積立金などを引かなくてはいけません。

 

そう考えると表面利回りで得られる収入よりも多く支出が発生する可能性が高くなりますし、仮に残ったとしても雀の涙程度です。そうならないためにも、物件の購入判断をする際には一般的な利回りよりも2%〜3%高い物件を条件に挙げておくことが理想的な利回りといえます。

そして、次は新築物件や中古物件の場合、アパートやマンションであればどの程度が理想的なのか細かい点も解説していきたいと思います。

 

新築物件の理想利回り

新築物件では、初期投資の額は中古物件よりも多くなるデメリットがあります。ただ、それでも中古物件に比べると修繕費などの物件を維持するために必要な諸経費が低いメリットがあるため、実質金利を計算する際には省くことができる諸経費の項目を減らすことができ、実質金利との乖離は低くなります。

つまり、表面利回りが新築物件と中古物件で変わらなかった場合には、修繕費などの諸経費が必要ない新築物件の方がお得になるわけです。しかし、前途で説明したように基本的な初期費用の高さから新築物件よりも中古物件の方が利回りが2%以上高い傾向にあることを忘れてはいけません。

不動産投資において、表面利回りの平均は新築の場合が「区分マンション」が3%〜4%、「アパート」が6%前後、「戸建て」が8%程度となっているので、先程説明した2〜3%を上乗せした水準だと考えておきましょう。つまり、全体を通して新築物件で理想を求めるのであれば、8%〜11%が新築物件の理想だということになります。

 

中古物件の理想利回り

中古物件の場合には、新築物件とは比べると初期費用を抑えることができるメリットがあります。しかし、新築物件に比べると修繕費などの諸経費や物件を維持するための費用なども必要になるデメリットがあるため注意が必要です。これは実質金利を計算する際には諸経費の項目が新築物件よりも多くなるため、表面利回りとの乖離が大きくなることを意味しています。

 

基本的に新築物件よりも中古物件の方が利回りが高いため、一見利回りは高いように感じます。しかし、利回りが高ければ良いというわけではなく、利回りが高くなる理由が中古物件には潜んでいる可能性もあるため、実質金利を計算する際には修繕費や中古物件に必ずかかる初期費用を細かくチェックしておくようにしてください。

都心部のマンションであれば築20年程度で平均的な6%の利回りは高い物件だと言われていますが、中古物件は築年数によっても異なります。特に高い利回りに目がいきがちな「戸建て」は、修繕費や空室といったリスクが高いといった裏がある場合も多いため気をつけておきましょう。

 

中古物件の場合、平均的な利回りは「区分マンション」では6%前後、「アパート」では〜8%前後、「戸建て」だと〜16%と高い水準のものが多くなっています。そして、平均的な利回りの2〜3%を上乗せしてみると理想的な中古物件の利回りは8%〜19%だと分かります。

アパートの理想利回り

基本的にマンションに比べるとアパートでの表面利回りの方が高く出る傾向にあります。それはマンションに比べると購入価格が低くなるためです。また、エレベーターなどの修繕費も不要なことも主な理由でしょう。

こういった要因から、実質利回りでもマンションに比べると高い利回りはアパートでは実現できます。ただ、アパートにも相応のリスクがあり、空室が多くなりやすく、融資が受けづらいといった特徴があります。そのため、空室期間の長期化から年間の賃貸収入が減少してしまい、利回りが想定よりも下がってしまう場合も多くあることを覚えておきましょう。

 

「アパート」の平均的な表面利回りは6%前後になっているので、新築のアパートの場合には8%以上の物件から投資判断をするのが理想的な利回りになります。中古のアパートであれば、修繕費も必要になってくるため、これよりも表面利回りが高い物件が理想です。

マンションの理想利回り

マンションは、基本的にアパートに比べると利回りが低くなります。これはエレベーターなどの修繕費などが必要になるためですが、マンションではアパートに比べると空室のリスクが少なく、融資も受けやすいという利点があるためです。

 

近年では、都心の新築マンションで利回りが3〜3.5%と低いにも関わらず投資する人が増えています。

その理由は、都心マンションでは入居者の多さで空室率が低かったり、人気エリアであれば賃料を上げやすかったりするため利回りを増やすこともできるためです。また、現物資産である不動産では、地域次第で価値が上がることも少なくありませんので、最終的には売却して現金化するといった出口戦略を考えている人も多くいます。

 

「区分マンション」の場合、平均的な利回りは新築が3〜4%、中古が6%前後となっていますので、マンションの理想的な利回りは6%〜9%になります。ただ、中古のマンションであれば修繕費が必要になるのため、これよりも高い表面利回りが理想です。

戸建ての理想利回り

戸建ては他の物件種別に比べると利回りが高い傾向があり、新築だと8%で中古は〜16%となっています。実際に調べてみるとそれ以上に高い利回りで紹介している事もありますが、これは地方都市であれば購入価格を抑えることができるためです。そして、中古物件であればさらに購入価格を抑えることができ、利回りも高くすることができます。

ただ、修繕費や管理費がかさむうえ、空室のリスクも高く収益化が難しいことも多いため注意しておきましょう。

「戸建て」の理想的な利回りは基本的に地域や築年数次第で大きく変化するため、これといった数値はありませんが、リスクが高い物件であれば表面利回りは40%や50%といった高利回りもあります。そのため、前途の理由から平均を目安に考えるのが理想だといえるかもしません。

 

不動産投資で注意するべき利回りのポイント

利回りの注意点

物件の利回りは高い方が良いのはもちろんですが、投資用の物件を実際に探してみると平均を超える高い利回りが見つかることも少なくありません。ただ、利回りは高ければ高いほど良いというわけではなく、利回りの高い物件は何かしら高くなる理由があるということでもあります。

それは、地方の「戸建て」に多いような売却価格を下げることで利回りが高くなっているだけの可能性が高く、注意する必要があります。特に表面利回りで表記されることの多い不動産サイトでは、30%超えの物件というのも珍しくありません。

 

そのため、表面利回りとはいえ理想の利回りを大きく超える物件だから安心するのではなく、その利回りを実現できるように務めることが不動産のオーナーとして必要な素質となります。そして、なぜ高い利回りになっているのかを知るのも不動産投資で物件を精査する材料になります。

利回りが高ければ投資物件の返済計画も余裕を持って考えることができるため、少しでも高い利回りを実現したいという気持ちは分かります。ただ、高い物件を選ぶだけではなく、契約してから後悔しないためにも投資物件を選ぶ際には以下の注意点を意識しておくようにしましょう。

  • 立地が良くない(利便性がひくい)
  • 築年数がかなり経過している
  • 過去に問題があった事故物件
  • 修繕履歴
  • 入居者予想を1つの学校や企業に絞っている

上記の5つに該当する場合には、高い表面利回りで表記されるものの入居率が非常に悪かったり、築年数に対して修繕が甘いといった理由から投資元本に対して満額で得られる収益を元に考えられているため、高い利回りで表記されます。

しかし、実質利回りでは高い確率で乖離することが多く、物件を契約しても安定した家賃収入を得られないだけではなく、返済や売却にも困ることもありますので、注意して物件を調べてみるようにしてください。

利回りが低い場合の対処法

投資物件の候補を探してみると、意外と考えていた利回りを実現するのが難しいと感じることもあります。そういった場合には、まずリフォームリノベーションをして魅力的な物件にしましょう。特にその地域に住んでいる人たちが好むような形で変えることができれば空室率が下がる可能性も高くなるので家賃収入が上昇し、利回りを改善することができます。

 

不動産投資でリスクの1つとして考えられる空室を避けるための対策をしながら、入居者を増やして空室を少なくしつつ、入居者が長くいたくなるような住まいというのを提供することができれば、自然と利回りも大きくなりますし、入居者募集の費用や現状回復費用も少なくて済むため利回りの改善が可能というわけです。

 

まとめ

そのため「高利回り=優良物件」という考え方をせずに駅からの距離や利便性、入居者率なども顧みたうえで理想的な利回りを探してみるようにしてください。また、新築と中古では平均的な利回りが最低でも2%以上も変化しますので、投資物件の状態も考えておくことは重要だと覚えておきましょう。

今回解説した一般的な利回りの平均は、あくまで不動産投資における目安ですので、実際に投資物件を探してみると平均を超えるものが少なかったり、なかなか条件に一致しないということもあるでしょう。しかし、実際に物件を見てみるとやり方次第で利回りを改善することはできますので、様々な角度から物件を見極めて考えていくのが不動産投資で成功するためのポイントです。

 

もちろん、投資物件で求める利回りはポートフォリオ次第で異なるかと思いますが、目的や物件種別によって資産設計も変化しますので、それを踏まえたうえであなたの目的に合わせて最終的に物件を決めるように心がけましょう。

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