不動産投資の成功率と失敗率から考える投資物件への対策とポイント

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不動産投資の成功率と失敗率から考える投資物件への対策とポイント

近年、不動産投資は若者の資産形成意欲の向上や老後の不安から多くの人が挑戦しています。当然成功している人もいれば失敗している人もいますが、「取り敢えずこの物件にしてみよう」とあまり考えずに物件を契約してしまう人よりかは、物件ごとに得られそうな利回りを計算したり、事前に不動産投資で初心者が躓くような失敗を学んでいた方が成功するのは言うまでもありません。

しかし、そもそも「不動産投資の成功率」は何%かご存知でしょうか。

当たり前ですが、成功率が著しく低ければ損をする可能性の方が高いため避けたいと思うはずです。ただ、不動産投資において、成功率を具体的に示す数字はありません。また、不動産投資のおける成功の定義も人によって異なり、不動産投資の得られるメリットから「副業としてのお小遣い」「将来の資産確保」「節税対策」など投資家の目的次第で成功も失敗も違うものになります。

 

これらのことを踏まえ、長期的な運用が前提の不動産投資で成功したという客観的な統計データが存在しないことも大きな理由です。ただ、不動産投資において失敗せずに安定した収益を出せる成功率と失敗率の目安であれば、現在不動産会社が示す情報をもとにある程度確認することが可能です。

 

もちろん、これはあくまで目安ですので対策と準備次第でさらに成功する確率を上げることもできます。逆に言えば何もしなければ失敗する可能性も高くなるということでもあります。

今回の記事では、不動産投資における成功と失敗の目安を紹介しながら、成功率を少しでも上げるためのポイントについて解説していきたいと思います。

目的別にみる不動産投資の成功率は?

不動産投資の成功率

前途でもお伝えしたように、不動産投資をやる目的は人によって異なります。単純に「節税対策」として考える人もいれば、将来的に「不労所得」を手に入れたいと考えている人や「老後資金の足し」にしたい人など様々です。

その目的が達成できれば不動産投資において成功したといえるかもしれません。ただ、不動産投資は長期的な運用から数十年は経営していくことになりますので、始める前に不動産投資を行う理由も明確にして目的を決めておくことは、失敗しないためにも当然ともいえます。

 

そして、実際に失敗する可能性が高い目標に沿って不動産投資をしてしまわないためにも、以下の5つの目的別でどの程度成功率が変化するのかお伝えしていきたいと思います。

  1. 生計の確立
  2. 毎月のキャッシュフローをプラスにする
  3. 相続税の節税対策
  4. 副業としての安定収入
  5. 生命保険効果や年金代わり

 

目的①生計の確立における成功率は10%以下

不動産投資はサラリーマンに人気の投資ですが、サラリーマンの毎月の手取りが20万〜30万程度だとすれば、実際にその金額を生活費として毎月確立できる成功率は10%以下と厳しい数値になっています。

10%以下でも実現できれば「不労所得」が得られるわけですが、成功率から考えて不動産投資の経験が豊富な投資家や複数物件を所有している人が多いため、難易度としては非常に高くなっています。また、不動産投資では金融機関からの融資を前提に行う人が多いため、不動産投資のローンの返済や空室リスク、修繕費の関係から、収益が長期間発生し続けていても完全な生計の確立を不動産投資の目的とするのは最も難しいといえるでしょう。

目的②キャッシュフローを継続的にプラスにする成功率は20〜30%

毎月のキャッシュフローをプラスにするという目的で不動産投資を行う場合、キャッシュフローには家賃収入のプラスだけではなくローンの返済や入居者募集の広告費などのマイナス要素を考慮しなければなりません。これは投資物件によって異なりますので、実質利回りをしっかりと計算しておくことが重要になります。

前途の「家計の確立」に比べればプラスにする収益は小さくても済むため、成功率としては高くなっています。しかし、それでも成功率は20〜30%と、不動産投資を始める初心者などにはまだまだ低い確率となっています。

目的③相続税の節税対策とした場合の成功率は50%以上

不動産投資では相続税のほうが現金よりも安くなることが一般的であり、固定資産税評価額に対して課税されるため、市場の3分の1程度になることが多く、同じ現金を相続させるよりも遥かに安く済ませることが可能です。もちろん、相続が近ければ相続税対策として見なされてしまう可能性はありますが、それでも努力して運用させれば夢ではない数値の成功率となっており、その確率は50%以上です。

 

不動産投資におけるメリットでも解説していますが、数千万規模で差が生じるのため、相続させる金額が大きければ不動産投資へ資金を運用してもいいでしょう。

目的④副業としての安定収入を得るための成功率は50%以上

副業としての安定収入というのは求めている金額にもよります。ただ、本業以上を求めようとすることはないでしょうから、金額の規模としては3万円から高くて10万円というお小遣い目的でしょう。

その場合の成功率は50%以上と意外と高く、失敗しないためのポイントを抑えておけば実現が可能な数値です。この金額は単純に賃貸収入から修繕積立金やローンの返済などを引いて残った自由に使えるお金ですので、投資物件の実質利回りがプラスになるような物件であればそう難しくはありません。

 

もちろん、そのお金も返済に使うと言う人もいれば、デートや趣味といった娯楽費にまわす人も多くおり自由ですが、ある程度不動産投資で目的としていた目標が実現できた一般的な成功例かもしれません。

目的⑤生命保険や年金代わりを目的にした成功率は70%以上

不動産投資のメリットで「生命保険の代わり」になることが挙げられます。これは「団体信用生命」と呼ばれる保険が関係しており、ほとんどの投資家が物件を契約する際に加入します。これは、ローン残債がある状態で万が一投資家に病気や事故により返済できない状況に陥った場合、団体信用生命保険が生命j険の一種として提供される仕組みで、返済のする必要がなくなります。

また、返済する必要がなくなったものの、所有している不動産はそのまま家族が引き継ぎ、家賃収入を得ることができるため、生命保険の代わりになるというわけです。

 

この生命保険効果や長い期間を使って年金の代わりと考え、投資物件を運用し続ける場合の成功率は70%以上とかなり成功しやすくなっています。これは先程お伝えした団体信用生命はもちろん、長期運用での不動産投資では老後までに返済を終わらせて賃貸収入を年金代わりにしたり、売却して大きな資産を得るという出口戦略で成功率が高い傾向となります。

 

ただ、これは他の目的に比べると少し赤字も発生しやすくなっているので、気をつけておきましょう。多少赤字が発生しても生命保険代わりになり、老後の生活費にもなることから行う人は多いですが、想定以上の赤字になって損失を生むこともあるので、あくまで目的に沿ってできるように検討することが大切です。

 

不動産投資で成功率を上げる基本的なこと

不動産投資

不動産投資で成功率を上げるためには、不動産投資でのローン選びも重要になります。それは、金融機関次第で年収の10倍まで借り入れできる金融機関や一定額までしか貸さないといった金融機関まで様々なためです。

当然金利も異なりますので、大きい運用額なだけに金利の大きさにも気をつけておきましょう。

 

また、不動産業界では物件の利回りを修繕費や空室期間を考慮せずに表記する表面利回りが一般的になっています。しかし、実際にはその利回りから空室期間に得られない賃貸収益や修繕費なども考慮にいれたうえで実質利回りを考えることが重要です。

つまり、物件選びの段階から不動産投資は大きく差がつく投資でもあるわけです。

 

目的も異なり、目標も違うため成功も人それぞれでしょう。それでも不動産投資で得られる利益は多ければ多いほど良いですし、損失が発生する可能性は少しでも減らしたいはずです。

その可能性を少しでも上げられるように基本的なことを知らずに始めてしまわず、投資物件で発生する利回りや、不動産投資で初心者が躓くような失敗は出来るだけ早い段階で知り、成功率を少しでも上げることへ繋げられるようにしておきましょう。

不動産投資に挑んだ人の失敗率

不動産投資の失敗率

不動産投資の成功率となる目安をお伝えしましたが、失敗率はどうでしょうか。こちらも失敗の定義は人によって異なりますので断定的なことはいえません。しかし、多くの人が「どうしよう…」と、不動産投資をしていると遭遇するかもしれない「ローンの返済が滞った=失敗」と仮定すると、失敗率を導き出すことは可能です。

 

以下はスルガ銀行の2020年度第一四半期決算概況になりますが、そこで延滞率を見ることが可能となっています。

不動産投資の失敗率

参照元:スルガ銀行(令和2年度第1四半期決算概況)

例えば、最もサラリーマンに人気の高いワンルームローンは延滞率が1.92%となります。そして、一棟収益ローンでは延滞率が3.68%となっており、ローンの返済が滞ってしまったことを失敗と捉えると失敗率は非常に低いと考えることができます。もちろん、これは別の金融機関や失敗の定義を変えることで変化しますが、参考にすることはできるはずです。

 

そもそも、日本では不動産投資が昔から盛んであり、バブル絶頂期には不動産価格は絶対に下がらないという土地神話があったほどです。ただ、そんな都市伝説も今では多くの人が「あり得ない」と理解しているはずです。また、不動産投資に限らず「投資で儲かっているのは1割で9割は負けている」なんて話はよく聞く話です。しかし、実際に調査してみるとそうではないことも分かっています。

 

このように、失敗するネガティブな事ばかりを探せばいくらでも見つけることができ、想像もできます。しかし、考え方や運用方法を変えれば成功率は高くなり、不動産投資ではキャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙うことができるため、他の投資に比べれば利益を出しやすいという見方も可能です。

物件を契約して不動産ローンを組み、ローンの返済や修繕費の経費などは得た賃貸収益から支払っていくのが不動産投資の基本的なやり方です。しかし、少しでも利益を得られたのであれば成功といってもいいでしょうし、この考え方でいえば成功率はもっと高いでしょう。

 

そのため、成功率や失敗率に拘りすぎるのではなく、あくまで目安としてどのように不動産経営という事業を軌道に乗せるかを考えていきましょう。

不動産投資で失敗率が高くなるのは「売却益を狙った運用」

不動産投資の失敗率

もしもあなたが投資物件や購入したマイホームを将来的に売却しようと考えていた場合、売却益を狙った利益の出し方は失敗率が高い傾向にあります。基本的に新築であったとしても購入した時点で中古物件扱いになるため、相場の2割〜4割価格が落ちるものです。

 

もちろん、人気エリアである投資物件や景気上昇の波に上手く乗ることができれば売却益で得をすることも不可能ではありませんが、少子化における日本の現状と未来を省みるとあまり期待はできません。そして、そもそも建物はどれだけ管理・修繕をしていても資産価値は下がっていきます。

売却益を得るためには資産価値を維持できる物件を契約しておき、売却のタイミングを逃さないように不動産市場の情報を集めておかなくてはいけませんので、その点で言えば他の投資に比べて成功率は低く、投資で失敗している人は9割という考えもこの場合には当てはまるかもしれません。

 

基本的に不動産投資で投資物件の売却益から利益を狙うのではなく、家賃収入を主に考えておきおましょう。そのうえでローンの返済が終わったり、ローンの残債が少なく売却益と今までの家賃収入を含めてトータルでプラスになるのであれば、失敗率という意味では下げることは可能です。

ただ、基本的に不動産価格は購入時点から価格は下がっていくので、売却益を狙って運用をすることは控えておきましょう。自分自身で難しい利益の出し方を狙う必要はないので、あくまで時間をかけて気長に家賃収入を狙うことが成功するためには必要だと覚えておきましょう。

 

誰でもできる成功率を更に上昇させる方法

成功率の上げ方
基本的な成功率を上げる方法について前途で解説しましたが、次は失敗率を下げながら成功率を更に上げる方法についてお伝えしていきたいと思います。これは不動産投資以前に資産運用において考えるべき内容でもありますので、ぜひ一緒に考えていきましょう。

基本的な考えとしては以下の3つになります。
  1. 不動産投資の基礎知識を学ぶ
  2. 物件を契約する前にシュミュレーションする
  3. リスク対策を行う

それぞれ具体的に解説していきたいと思います。

 

不動産投資の基礎知識を学ぶ

どの資産運用でも同じように、基本的な知識は最低限身につけておく必要があります。今の時代は昔と違ってインターネットで不動産関連の記事を読んだり、専門用語や成功例などを読むことも簡単にでき、不動産のセミナーにも無料で参加できることが多くなっています。

 

インターネットには怪しい情報や古い情報もありますが、同時に不動産投資における成功や失敗の例、安定して利益を出せるようになった投資家のノウハウなど、集めればいくらでも情報収集が可能です。不動産会社が開催するセミナーも新型コロナウイルスの影響でオンラインで開催されることが増えてきていますので、家に居ながらセミナーに参考するということも可能です。

 

また、知識を蓄えておくことで本当に利益を出せる利回りなのかや、詐欺被害なども未然に防げる力が身につきます。本を購入するのも良いですし、実際に行っている人に連絡してみるのもいいでしょう。お金をかけずに学べる方法はいくらでもあるので、積極的に学んで情報を集めてみましょう。

 

物件を契約する前にシミュレーションを行う

どんな投資でも実際に発生する損益を考え、どれぐらいの損益が発生すれば利確するのか、損切りするのかを決めておくことは常識です。そして、これを決めておくということは、価格変動が起こる投資において事前にシュミュレーションしているということでもあります。

 

運用中資金計画は細かく見積もることが不動産投資では大切になりますので、ローンの返済や経費などに必要な経費をしっかりと考えておきましょう。また、毎月どれぐらいの現金が手元に入ってくるのかによってもモチベーションが変わりますし、空室期間が発生した時の焦りも薄まります。

 

考えるべきことは多くありますが、「簡単に儲けられる」「ずっとこの賃貸収益が続く」などの楽観的な考え方はせず、厳しく候補に挙げている投資物件のシュミュレーションを行いましょう。そのうえで利益が発生する物件であれば、失敗率は低くできるので成功率を上げることに繋がります。

リスク対策を行う

リスクはどんな投資にも付きものですが、単純に修繕費や空室におけるリスクだけではリスク対策は不十分です。仮にですが、契約した物件が人の住めないような事態が発生すれば、不動産投資では致命的です。

そのため、火災保険や地震保険を含めて事故物件に備えたオーナー保険へ加入しておきましょう。保険などの経費が増えれば月々の利益が少なくなりますが、それでも万が一に備えられば安心感も大きく違います。

 

また、空室や家賃滞納へのリスク対策は実績や信頼のおける管理会社に管理を依頼する必要があるので、管理会社の選定も慎重に行うのがオススメです。

 

まとめ

ここまで不動産投資における成功率と失敗率、そして成功するためのポイントをお伝えしました。不動産投資を含め、資産運用では明確に成功する確率や失敗する可能性が分かることはありません。しかし、過去の事例などや収集されたデータから傾向と近い数字を知ることは可能です。

 

その数字を見てみると意外と失敗率は低く、成功率は高いと分かりました。しかし、やはり投資額の大きさから実際の運用には消極的になってしまう傾向があり、始めたとしてもあまり知識が身についていない初心者は多くいます。不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれており、株取引やFXに比べると失敗率は高くありませんが、それでも知識もないまま始めるのには投資額の大きさから危険なのは言うまでもありません。

 

そのため、まずは最低限の知識や行うべき対策をしっかりと頭に叩き込み、投資物件の候補をインターネットで探したり、購入可能な物件のシュミュレーションをあなた自身で行ってみましょう。

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