雇用統計やGDP(国内総生産)といった国の経済状況を示す指標は、急激な値動きを生む指標です。
しかし、その大きな値動きも方向性(トレンド)が掴めれば、上手に波にのって利益を伸ばすことが可能になります。単純に「今日の〇〇時に発表される」「発表された数値が〇〇だったから買いだ」と当日に値動きが動くと予想される指標の情報待つということも悪くはありません。
ただ、その発表される経済指標が良いのか、あるいは悪いのか事前に予測することができれば、客観的な事実(データ)として発表される景気や経済情報が良し悪しが事前に確信できるようになります。
雇用統計にGDP、FOMCと大きい経済要因にばかり気を取られがちですが、発表されてすぐに値動きが活発化しない経済指標でも、今後発表される大きな指標の予想が可能になるデータの内訳として判断材料になります。
今回は、雇用統計とGDP(国内総生産)の予測材料として役立つ「小売売上高」について説明していきたいと思います。
発表後に値動きはすぐに活発にならないといっても、国の経済力を現す1つの指標であり、重要でないものなどありません。そして、その1つ1つの指標を読み解くことで、重要な経済指標や相場の流れを把握する材料にも関わらず、知らなかったり軽視することは、ファンダメンタルズ分析においては致命的です。
ファンダメンタルズ分析をFXで活かすためにも、しっかりと理解して利益をあげる武器として使っていけるようにしましょう。
小売売上高とはどんな指標?
小売売上高とは、その名の通り百貨店やスーパーなどの小売業における売上に関する指標になります。
個人消費収支の動向を見るために使われ、景気回復の先行指標(将来の景気や企業業績を見通せる指標)なので、雇用統計やGDP(国内総生産)の予測材料になり、「耐久財」と「非耐久財」の各項目が発表され、変動の激しいとされる自動車部門を除いた部分が重要とされています。
米国は世界一の消費大国ですが、個人消費がGDPの70%近くを占めることもあり、個人消費全体の方向性(トレンド)を把握するうえでも重要な指標となっています。
先行指標とは?
個人消費収支の動向は景気動向の先行指標
小売売上高は、そのままの意味で小売の売上高です。
データを収集するために、米商務省の調査局では小売および飲食サービス業の約5000社を対象とした小売売上高の月次調査を行っています。
個人消費の動向については、「商品が売れたいかどうか」という点であり、個人消費がGDPの70%を占める米国では、個人消費が米国経済に与える影響はとても大きいものになっています。
売上が高ければ、当然景気が良いと判断できます。
特に景気回復の兆しが見え始める段階においては、最も注目される先行指標になります。
個人消費と景気の関連性は、当然個人の買い物が増えると景気が良いという判断で考えるので、数値が高いほど景気が良いという考え方で充分です。
小売売上高の発表される数字とは?
小売売上高は年での比率や月ごとの比率で確認することができますが、基本的に前月比(%)でデータが発表されています。つまり、前月と比べて売上が何%増えたか減ったかが分かるということです。
そして、その数字を単純に見ていくことも悪くはありませんが、小売売上高は自動車や電化製品、雑貨商品などのそれぞれ部門別にも前月比が発表されます。
業種別の発表は自動車部門を除いた数字に注目
小売売上高は各種別ごとにも発表されますが、自動車部門に関しては価格が高いこともあり、全体に占める割合が大きくなります。
ただ、キャンペーンなどの影響もあって月ごとにばらつきも大きくなるため、実際の景気動向を見るには全体の数字よりも自動車部門を除いた売上高が重要と考えられています。
業種別小売売上高のデータ
実際に過去のデータでは、米商務省が発表したデータで前月比より数字が高くなっていたにも関わらず、変動が激しい自動車・同部品を除いた小売売上高はその半分になっていたので、景気回復の先行き不透明感を払拭することができずに、前月比よりも高い数字(良い結果)で大きく価格が下落したことがありました。
小売売上高のポイント①
アメリカではほぼ、「注目指標」の発表があります。
世界の基軸通貨なため、注目度自体が他の国に比べると高いことも理由です。
ただ、そんなアメリカの指標もISM製造業景況指数などは雇用統計と同じ週に発表されるため、どうしても注目度が下がります。しかし、小売売上高は毎月15日前後と月の半ば程度に発表されるので、他の重要な指標の発表とタイミングが合うことはありません。
そして、そのままその後に発表される雇用統計やGDP(国内総生産)の予測材料とすることができるため、余裕を持った分析と確認を行うことができます。
つまり、時間をどれだけ有効に使い分析できるのか、という情報収集能力と投資家としての分析力が試されるといってもいい利益に繋げられるチャンスになります。
小売売上高のポイント②
米国の個人消費はGDPの約70%を締めているので、消費者がどの程度の商品を買っているかは米国経済に大きな影響を与えます。
小売売上高の数値を見ることによって、個人消費のトレンドを把握することができ、今後のアメリカの景気を予測するうえで非常に約に立ちます。
消費を見極める指標には、この他にもウォルマート売上高などがあります。
ウォルマート売上高とは、アメリカ合衆国のアーカンソー州に本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンであり、売上額で世界最高の企業です。
その売上は年間で50兆円を超えるほどで、1つの企業が経済の指標として確認できるほどの規模を誇っているため、小売売上高の他にもう一つの指標として見られています。
個人消費はアメリカ経済を知るには、かなり重要なポイントになります。
また、小売業は御売業者から買った商品を消費者に売る仕事。小売売上高とはその小売業の売上高を合計した指標です。経済を発展させたい国は、発展しているかどうかの判断を何するかというと、「消費者が元気かどうか」という点で判断します。
日本では、消費税が上がったりすると個人消費が減少しますが、そういった部分はきちんと把握することは雇用統計やGDP(国内総生産)の予想に役立てることができます。
小売売上高はどうやって集計値を算出している?
小売および、飲食サービス業の約5000社を対象として集計されます。小売売上高は、その規模の大きさから最初の推進値の発表が翌月の第2週目を目処に小売・飲食サービス小売高「速報値」として発表されます。
そして、2回の修正を経て確定値の発表となりますが、注目が集まるのはGDPと同じように速報値になります。
そういった点では規模の大きさからGDPと似たような確認方法になりますが、GDPや雇用統計を予測するうえで必要不可欠な先行指標になりますので、ファンダメンタル分析を中心とした中長期で運用しているFXの投資家は確認するようにしましょう。
重要指標の予測に役立つ先行した指標
小売売上高は、雇用統計やGDP(国内総生産)といった、重要な経済指標による大きな為替変動への予測に非常に役立ちます。
小さい指標が積み重なり、大きな指標へとデータが収束されるように、私達消費者の動向が雇用や小売売上に繋がります。そして、その一人辺りに占める消費者やデパート、飲食店など経済を支えている企業の利益や購入額というのは、経済が良し悪しを判断するために非常に重要なものさしです。
だからこそ、大きな経済指標や要因といったことには必ず原因が存在します。
その原因を突き詰めていくことは、大きな動きを生む指標と短期的な思考に囚われず、長期的な視点で情報を取捨選択していく能力が投資家には求められます。
長期的な運用は資金を減らすリスクを下げてくれますし、ファンダメンタルズ分析による予測は利益を生む結果にも繋がります。そのためにも、重要な指標だけを狙っていくのではなく、その経済指標につながる指標を分析し、経済要因を武器にできる投資家になりましょう。
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