あなたは日本に膨大な借金があると聞いたことはありませんか?
借金と聞くとネガティブなイメージが頭に思い浮かびますが、日本は借金大国だと言われています。
テレビ番組やネットニュースで取り上げられることもあるので聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは真実です。
その借金の総額は約1200兆円。
この負債額を聞いて、なぜ日本は財政破綻しないのかと気になる人も多いでしょうし、「国家破産しないのは嘘だからだ」と考えるひともいます。
もちろん日本は財政破綻なんてしませんが、日本の借金についてはあながち嘘ではありません。
膨大な借金があるのは事実でもありますが、「財政破綻しないのは借金が嘘だから」「借金なんてないから」と考えるのではなく、私達が住んでいる日本の抱える借金について詳しく知っておいてもいいのではないかと思います。
今回の記事では、日本の借金について詳しく掘り下げて解説していきたいと思います。
日本の借金は「約1200兆円」その内訳は?
財務省が公表している国の財務書類を確認してみると分かりますが、国の負債額は1238兆円になります。
日本の借金である1238兆円の内訳を財務省から発表されているバランスシートから簡易的に分けてみると下記5つになります。
- 公債
- 政府短期証券
- 借入金
- 公的年金預り金
- その他
他の細かい部分を見ていくと膨大な内容になりますので「その他」として割愛しますが、大きく分けた「公債」「政府短期証券」「借入金」「公的年金預り金」がそもそも何なのか分からないという人も多いと思いますので、日本の借金1200兆円の内訳をもう少し深堀りしてお伝えしていきます。
日本の借金①「公債」967兆円
公債とは、中央政府や地方政府(あるいは国や地方公共団体)が、資金調達のために行う債券の発行又は証書借入れによって負う金銭債務(=借金)又はこれに係る金銭債権を言います。引用元:Wikipedia
公債と勘違いされやすいものとして、国債があります。
「債」とは借りるという意味になりますが、国や地方公共団体は税収が不足しそうなときに債券を発行して購入してもらい、不足している資金を補います。国債は税収が足りない場合に国が発行する債券になりますが、地方債と呼ばれる地方公共団体が発行する債券もあり、この2つをひとまとめに合わせて公債といいます。
これは国や地方公共団体の借金になりますが、購入してくれた企業や個人に対して追う借金であり、簡単に言えば私達国民に対して背負う借金です。
国が発行している国債は、財務省のホームページで詳しく確認することができます。
財務省のホームページでは個人向け国債の仕組みから買い方を詳しく知ることができますが、国に一定期間お金を投資するということになり、投資ですので定期的に利子を受け取ることができます。
投資が怖くて不安と言う人は、国にお金を貸す国債から始めてみるといいかもしれません。
日本の借金は1200兆円と聞くと膨大に感じるかもしれませんが、そのうちの966兆円は私達国民から借りていると言っても差し支えないもの。家族に借りているようなイメージに近いので、借金は借金でも財政破綻するようなことは考えにくいでしょう。
日本の借金②「政府短期証券」77兆円
政府短期証券(Financing Bills、略称:FB)は、国庫金の短期の資金繰りのために、 また特別会計の一時的な資金不足のために発行されるものです。なお、国庫の資金繰りのために発行される財務省証券は、年度内における資金繰りのためのものであることから、当該年度の歳入をもって償還されます。引用元:財務省
政府短期証券は国保短期証券とも呼ばれ、日本債券(国債)の一種になります。
日本政府が一時的な資金不足を補うために発行しますが、外国為替平均操作に使われるケースも多く、基本的に機関投資家であるファンドマネージャーのファンド運用に組み入れられる場合が多くあります。償還金の支払いは政府が確実に行い、投資信託でも安全性の高い投資対象の1つとなっています。
こちらも国債の一種になりますので、国が国内で借りているお金です。
借金といえば他のところから借りてくるイメージがあり、他国から借金しているような想像をしてしまいますが、政府短期証券の77兆円も先程の「公債」966兆円と合わせて計1043兆円は国内に流れているお金を借りている形になります。
日本の借金③「借入金」31兆円
国の借入金とは、国債とは異なります。
これは国会の承認手続きを得ずに、運用資金のような形で金融機関などから政府が資金調達を行う方法になります。
読者の中にも銀行などの金融機関から借入をした経験のある人も多いでしょうが、この借入金31兆円は日本政府が資金調達のために金融機関に借りたお金になり、こちらのお金も国内から借りた額になります。
これで「公債」「政府短期証券」と合わせて総額1074兆円が、国内のお金を使っているに過ぎない借金だと分かります。
日本の借金④「公的年金預り金」120兆円
公的年金預かり資金は、言葉の通り公的年金として預かっている資金であり、負債として扱われます。しかし、企業会計と同じ基準で計上すると最も膨大な金額になると考えられています。
負債の欄には「退職給付引当金等」という項目もありますが、公務員の退職手合等は含まれていないことも考えると、国が管理している国民年金や厚生年金は公的年金預かり資金をみることで状況を把握することもできます。
ただ、この公的年金預かり資金の120兆円は、将来支払わなければいけない金額が計上されていません。
国のバランスシートにその金額が含まれていないということは、年金を支払っている人たちが将来貰う年金は実際どのぐらいあるのかという問題点が発生します。もちろん、これから徴収する金額で相殺するにしても不足金を保険料で徴収することは難しく、保険料で補う場合には日本を将来を背負う子供達へ途方もなく大きな負担をかけることにもなります。
国の負債額の読んでみると、年金についても資金的裏付けがないまま年金の支払いを約束しているということ分かります。
これ以上年金の話をすると趣旨から離れてしまうので詳しくは別のページで。
公的年金預かり資金の120兆円は、私達国民からみると膨大な金額に見えるかもしれません。しかし、国の負債の欄に記載されているだけで借金とは言いづらい項目でもあり、私達がネガティブなイメージとして抱いている他所から借りているお金とはまた違ったものでもあったはずです。
日本の借金⑤「その他」41兆円
これは「公債」「政府短期証券」「借入金」「公的年金預り金」の4つを除いて負債の欄に記載されているものの総額としました。
その金額は41兆円と、「借入金」よりも少ない金額となっています。
日本の借金を一人あたりで考えると約840万円
日本の借金の総額は約1200兆円になります。
この1200兆円を日本に在住している人に割り振ってみると、一人あたりいくらになるかご存知でしょうか。
その金額は約「840万円」にもなります。
これは単純計算になりますが、一人あたりに等分割していくと計算上はかなりの額に感じますが、日本の借金の正体が国民に対して借りていたお金ということを考えると、このよく耳にする国民一人当たりの借金の金額も誰かによる悪意やメディア操作による結果なのかもしれません。
この金額の大きさから、ギリシャのように債務不履行(故意又は過失によって自分の債務を履行しないこと)に陥る可能性があるといった謳い文句を専門家が発言していることだってあります。
国の借金が、誰から借りているお金なのかが明白になった今では、この謳い文句は読者を不安にさせることに目的があるように思えます。もちろん、知識として備えている人であればすぐに気づくかもしれません。
しかし、ネットが普及した昨今では、簡単に調べる事ができる反面、信用性のない表面上の不安だけを信じてしまう人がいるのも事実です。
あなたは、何が真実で虚偽なのかを取捨選択できるように最低限の教養は備えておきましょう。
負債に対して日本の資産額はいくらあるのか?
ここで気になるのが、負債額(約1200兆円)に対して日本の資産はどれぐらいあるのかということです。
もちろん、私達国民が持っている資産まで合わせてしまうと膨大な金額になりますが、私達個人の資産まで国が使えるわけではありませんので、この場合は日本政府の資産ということになります。
この資産額についても、財務省の国の財務書類で負債の部門と同じく資産の部門で確認することが可能になっています。
国の資産は総額670兆円になります。
簡易的な各内訳としては以下です。
- 現金と預金
- 有価証券
- 貸付金
- 出資
- 現金・預金→48兆円
- 有価証券→119兆円
- 貸付金→113兆円
- 出資→74兆円
上記の総額354兆円は換金が可能な金融資産であり、他には「有形固定資産」が182兆円、「運用寄託金」が111兆円、「その他」諸々で23兆円になります。
ここまで内容から、負債の総額と資産総額では圧倒的に資産の方が少ないのが分かります。
日本の負債と資産の差額からわかる事
「負債と資産の差額」を考えてみると、マイナス417兆7700億円。
つまり企業会計で言うところの純資産はまったくないという状況。企業で考えれば、倒産していないとまでは言わないまでも、債務超過で大きな問題があることは言うまでもありません。
そして、この大きな金額は今の子供達である将来の国民が負担しなければいけないという可能性を生むことになります。
日本が財政破綻した場合はどうなるのか
財政破綻とは、簡単にいえば政府が債務履行に陥ることであり、日本の政府が対外債務の利払いや元本償還ができなくなった状態のことです。
財政破綻と聞くとかなりひどい状態ですが、国自体が全く機能しなくなるということではなりません。財政破綻しても国は国家として機能しており、一番困ることになるのは私達国民です。
公務員の労働環境も悪くなるかもしれませんが、国家の状態を維持しなくてはいけませんので財政破綻したからといって公務員がいなくなるということにはなりません。ただ、公務員の人件費が真っ先にカット対象になります。地方公務員も同様の措置を要請されることになるはずです。
日本の財政が破綻したと判断されると、国債入札で長期国債が大量に売れ残ることになりますので、政府は売れ残った日本国債を日本銀行にすべて引き受けさせざるを得ません。
国債価格の暴落を恐れる銀行も国債を売りますので、日銀が買い取った結果、市場にさらに通貨が供給されることになり、物価が急上昇します。
また、円が信認を失うことになりますので、日本経済全体が外貨建てをしようとする動きが活発になります。その結果、為替が円安になり、1ドルが200円といった水準に達していきますので財政危機が収めるまでは円安が加速することになります。
一番深刻なのが銀行です。
国債価格が暴落した結果長期金利が上がりますので、長期金利が1%上がるごとに保有している国債価格が下落していき、1兆円の損失が出るといわれています。
財政破綻すると日本の長期金利は10%まで上る可能性があり、メガバンクや地方銀行が保有している国債は合わせて100兆円以上の含み損が生じることになります。
メガバンクも例外なく銀行すべて債務超過になりますので、銀行が倒産する可能性があります。
そのため、次々と銀行の窓口やATMといった取引を停止する可能性がありますが、これは財産権の侵害になるので破綻処理がされない銀行は営業を再開するはずです。もちろん、半分近くの銀行が営業を再開せずに精算処理に入る可能性が十分考えられます。
銀行すべてが倒産してしまっては日本の経済が回らなくなってしまうので、政府から救済がされるでしょうが、銀行株を中心に日経平均株価が大暴落することになります。
このように日本の財政破綻については、日本全体の経済に支障が発生するため膨大な内容になりますが、私達の生活にかなりの影響が顕著に発生します。
政府はお金を作り出せるので財政破綻はしない
「日本は借金で破綻する」なんてことはよく聞くこともありますが、基本的に政府は自国通貨建ての国債では破綻することはないので安心しましょう。
それは日本円を作っているのが日本政府なため、日本政府自身がお金を刷って返すことができるからです。これを聞けば「本当に?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
教科書やニュース、新聞や雑誌などでも借金の大きさを巡って日本の将来を憂う内容が多くあり、多くの人がその話を鵜呑みにしてしまうというのは無理もないはずです。この財政破綻するという可能性を防ぐため、政府は消費税を2014年には8%、2019年には10%まで増税されましたが、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」という公式文書を政府自身が伝えています。
「デフォルト」とは、債務不履行を意味する言葉ですが、簡単にいえば破綻するという意味と同じです。そして、この財政破綻しないという事実は、財務省自身が認めているように現実的にはほぼありえない話です。
ただ、政治家の多くの人たちは、「財政破綻の可能性」を増税の材料として発言することも多くなっています。景気が悪くデフレの状況でも増税しようとする姿勢は、SNSなどでは批判や否定する声も広がっているのが現状です。
大切なのは「今の私達」がどうするか
今回はあくまで「日本の借金」に関しての問題でしたが、本当の問題は借金の有無ではなく、物価が安定して国民が明るい将来を描けていけることです。
今後も増え続ける社会保険料や人口減少の問題に対して必要な政策をとるとしても、その政策や国を守るための借金が膨らみ、「国債の返済で破産」することがないにしても国が貧しくなるのは本末転倒です。
日本の出生数は約93万人と過去最低になったので、人口数でもかなり危うい状態。
バブル時代から少子化は問題になっていましたが、政治家は積極的に少子化に関わらなかったこともあり、数十年後の日本は経済的に危険かもしれません。
結局生活を豊かにするためには日本経済を強くしながらも、国民の資産を増やすしかないと思いますが、私達個人にできることは借金の額を考えることではなく、なるべき政府に頼らなくても老後を自身の資産と収入で生活できる基盤づくりという事に尽きるのかもしれません。
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