バブル経済とは? バブル誕生から崩壊を招いた3つの原因

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バブル経済とは? バブル誕生から崩壊を招いた3つの原因

日本の景気は悪く、未だに抱える課題は多くあります。しかし、日本にも景気が良い時代があり「バブル時代」、あるいは「バブル経済」と呼ばれていた時代がありました。

 

学生時代に授業で習ったでしょうし、テレビやネットニュースで目にする機会もあったはずですが、昔のことだけにイメージしか湧かずに「日本の景気が良かった時代でしょ?」という理解の人も多くいます。

 

もちろん、その理解も間違っていません。

 

しかし、日本の景気が最高潮だったバブル時代は色々な思惑が重なった結果崩壊し、出生数の低下や少子高齢化なども加わり、今の日本経済は将来を考える若者の多くが悲観的になってしまうほどです。

ただ、当時のバブル時代を知るひとからすれば、「昔は良かった」と思うはずです。

バブル時代を体験していない20代~40代の社会人には景気が悪いのが「普通」として捉えられているので本当に同じ日本なのかと驚くはずです。

 

今回はそんな「バブル経済」がどういったものだったのか、なぜバブルは崩壊して景気が悪くなったのかを解説しつつ、バブル時代の日本と現在の状態との社会の違いをお伝えしていきたいと思います。

 

バブル経済とは?

バブル経済

バブル経済とは、1986年から1990年頃の4年間で日本に起きた株価や地価などの資産価値の高騰による好景気のことを言います。

 

一言でいえば「景気の良い時代だった」ことは確かですが、あまりに短期間で特定の市場へお金が集中し、経済が一気に膨張、崩壊をしたため、泡が膨らんでしぼむ様子に似ていることからバブル経済と呼ばれるようになっています。

 

資産価値が上がることは悪いことではありませんが、それでも日本が本来持っている経済力を大幅に超えて上昇したのが大きな問題でした。

 

バブル当時は資産価値がどんどん上がるので、企業・個人が銀行からお金を借りて売買を繰り返し、副業として利益を上げていたほとです。

 

日本で残っていた根拠のない神話じみたものすら、揺るがないと誰もが熱狂して常識と疑うことがなく、この経済状況がずっと続くと思っている人の方が多くいました。

日本で最も景気が良かった時代と聞けば良いイメージで、再度バブル時代が来ることを願う若い人もいるはずですが、バブルのような好景気が起きて再度経済が冷え込むようになれば、その後の日本経済はかなり厳しいものになります。

 

景気が悪いよりも良い方が誰にとっても嬉しいですが、バブル時代のように行き過ぎた好景気は問題があるということです。

 

バブル経済が生まれた歴史背景

バブル誕生の背景

バブル時代を説明するためには、1985年9月のアメリカのニューヨークにプラザホテルと呼ばれる高級ホテルで行われた「プラザ合意」を語る必要があります。

 

このプラザホテルで、先進5カ国(日米英独仏)財務相・中央銀行総裁会議(G5)が開催されたのですが、ドル高是正(円高ドル安誘導)を目指すことが各国で一致しました。

これをプラザ合意と言いますが、アメリカは日本がどんどん発展している影響もあり、日本製品が流れ込んでいる状況でしたので、アメリカ製の商品が売れなくなっている状況をよく思わなかったことがあります。

 

つまり、日本の商品がアメリカに大量に投げれ込んでこないためには「円を上げれば良い」ということになり、一気に円高ドル安が進んだわけです。

 

アメリカはドル安によって貿易赤字を改善させたいという思惑があったのですが、合意後に政府や日銀の想定を超えるスピートで円高が進み、日本では輸出産業が大打撃を受けて円高不況になりました。

240円付近だった米ドル/円の為替価格は、プラザ合意後に急激に円高・ドル高が進んで2年後には1ドル150円台になったほどです。

 

すると、日銀は徹底した低金利政策を打ち出し、空前のカネ余りが発生したため、余った資金が「株式市場」と「不動産」の2つに流れ込みました。

これがバブル経済が誕生するまでの背景になります。

 

バブルを誕生・膨らませた2つの要因

バブル経済誕生の要因

プラザ合意を背景に余ったお金を投資したことで好景気時代に突入したわけですが、投資先としてお金が集中したのが「不動産」と「株式市場」です。

 

1989年の当時、日本一土地の高いとして知られる銀座の一等地で一坪、いわゆる畳二畳分の土地が1億円を突破してニュースになったほどですが、特に土地が高騰したのが東京の首都で、この原因の1つは1985年に国土庁が発表した「首都改造計画」です。

 

オフィスビルの需要を考えてニューヨークを上回る大都会になると予測したのですが、国がいうのなら間違いないと土地を購入希望する人が増え、その影響で値段は上がり続けて企業が本業以外で資産を増やそうと土地や建物を購入していきました。

 

国の発表が原因ともいえますが、もう一つの株式市場が湧いたのも国が原因といえなくはないかもしれません。

そして、急激な資産価値高騰の原因になったのは、この2つの投資先に今では考えられない要因が潜んでいたためです。

 

①バブル時代では信じられていた土地神話

さて、不況が訪れた時にどうやって景気対策をするのか?

色々なやり方がありますが、この当時は「金利を引き下げる」というやり方でした。

 

円高になって日銀が5回も金利を引き下げた結果、2.5%という戦後最低の金利になったため、お金が借りやすくなったわけです。そして、「銀行からお金を借りて土地を買おう」という企業が増えたのですが、これは土地の値段が絶対に下がらず、必ず上昇していくという神話めいたものが信じられていたのが原因です。

 

まともな人なら「おい!!」と思うかもしれませんが、当時はこの土地神話が信じられていましたので、土地を購入し、その土地を担保にさらに土地を購入するという流れが一般的でした。

多くの企業が沢山の土地を購入して利益を出そうと考えており、これを「財テク」なんて呼んでいたほとです。

 

そして、気づけば買った土地の値段が上がっている状況だったので、どんどん土地を購入しては売って、という利益の出し方で一気に土地の価格が高騰。

 

バブル当時は東京23区の土地の合計と全米の地価合計がほぼ同じで、23区の土地があれば全米が買えてしまうほど土地の値段が高かった状態です。

また、この時に生まれた言葉が「地上げ」という言葉です。

 

1970年代~1991年の間に土地の価格が6倍にまで跳ね上がった影響か、サラリーマンがマイフォームを購入しようと貯めていたお金が地価の高騰とともに足りなくなり、お金の使い道がなくなるという事態にもなっていたため、使いみちの1つとして株式市場へ流れ込んだわけです。

 

そして、株式市場へお金が集中していたのにもある要因がありました。

それがNTT(日本電信電話公社)が民営化されて株を発行したことです。

 

②一般向けに販売されたNTT(日本電信電話公社)株の高騰

当時は株で儲けようとする人は一握りでしたが、NTT(日本電信電話公社)が民営化されたことで株を発行しました。

 

これを一般の人向けに販売を始めたのですが、1株119万円で株式市場に出谷も関わらず購入希望者が殺到。その結果初日から値段が上がり続け、二ヶ月後には約200万円も増えて318万円にまで膨れ上がりました。

 

当時ニュースにもなったこのNTTの民営化による株の発行と株価の高騰は、株に興味のなかった人も「こんなに儲かるなら」と株で儲けようとする人が増え始め、空前の株ブームに突入。

この株ブームの影響で、1989年12月29日には日経平均株価が38,915円まで膨れ上がるほどの熱狂ぶりです。

 

株式市場への資本の流れは、企業にもお金が集中することになるので銀行からお金を借りなくてもよくなるほどでした。当時のサラリーマンの給料は、末端社員でも月収500万を貰っていたほど企業も個人も羽振りがよかった時代だったそうです。

 

ただ、ここで問題が起きたのが、不動産を強引に購入したいがために起きた地上げ屋の脅迫じみた行動です。

 

バブル時代に起きた地上げ屋の信じられない行動

地上げ屋とは、建築用地を確保するために地主や借地・借家人と交渉して土地を売買する人や企業のことをいいますが、地価の価格がどんどん上がるバブルの時代では多くの土地を手に入れることが重要でした。

 

それは時間と共に地価が右肩上がりに上昇していたのもありますし、その空いた土地にビルやマンションを建てるために銀行にお金を借りれば、銀行も大きく儲けることができたので不動産と金融機関の関係は当時かなり強く繋がっていたのは想像しやすいと思います。

ただ、バブルの時代ではこの地上げ屋の強引な行動が度々問題になっていました。

 

バブル時代は空前の株ブームで企業にお金が集まっていましたが、銀行は預かったお金を誰かに貸さないと利益にならないため、銀行は借りてくれるところを探し始めたのが原因です。

 

例えば、銀行は郊外などの空き地を探して土地の登記謄本をとって所有者を探し出し、所有者のところに訪れて「せっかくの空き地なのでマンションを建てませんか?ビルを建てませんか?」とお金をお貸しますと銀行から言って回ったわけです。

ただ、中には先祖代々土地を守ってきたという人やお金には困っておらず、その土地を手放したくないという人も出てきます。

 

こうなると更地に1つだけ土地が残るような状態になるのですが、ある日突然不審火が起きたり、脅迫状が届くといった問題が多発するようになりました。

 

酷い時には、無人のダンプカーが突撃してくるということもあったそうです。

もちろん、銀行や不動産会社が原因とまではいいませんが、それでも当時利益を上げるために、契約や利益を求めて強引な行動に出ていた人もバブル当時を少なくありませんでした。

 

バブル景気が最高潮の様子

バブル時代の様子

当時の日経平均株価が3万円後半だったことを考えれば、景気が良かったことは分かります。

しかし、実際に日本の景気が良い状況というのは、今の不景気と比べてどのような違いがあったのか?その様子を語りたいと思います。

 

かつてないほどの好景気に包まれていた日本では、企業だけではなく一般的な家庭のサラリーマンやバイトといった雇用者の給料は非常に高くなっていました。

バブル期の新卒求人倍率は2倍を超え、高卒でも就活に困ることはなく大手企業に就職。当時は企業にハガキを送れば面接の返事が来て面接にいけば内定が貰えていたので、今の新卒の大学生や転職を考えている人には羨ましく感じるはずです。

 

また、企業側が新卒集めに必死だったため内定者に高級ブランドのバックを贈呈、海外旅行に連れて行ったり、採用後には車を一台プレゼントしていた企業もあったほどです。そして、肝心の給与は一介のサラリーマンでも平均月に50万、初任給でも30万円でした。

 

高卒と短大卒のOLでも初年度からボーナスが100万円〜600万円が平均だったそうですし、日雇いのアルバイトで時給5000円だったところもあったようです。

 

1億円あれば利子で食べていけると言われていた時代ですが、今の高齢者が銀行にお金を預けるのが一番と考えるようになった原因の金利も高く、普通預金で2%でした。これは単純計算で1000万円預けていれば年間20万円増える計算です。

 

そのような時代ですから国民の購買意欲も高く、安いものは売れないが2倍、3倍に値段を高くすれば売れるようになるという高価思考主義の人が大多数を占めており、非常に企業もサラリーマンも景気の良い時代でした。

 

ただ、行き過ぎた景気ということもあり、この好景気は長続きしません。

 

バブル崩壊の3つの原因

バブル崩壊の原因

良い部分もあれば、悪い部分もあるバブル経済ですが、行き過ぎた地価高騰大蔵省(今の財務省)と日銀が3つの策を打ち出しました。

 

これが原因でバブル時代は短期間で崩壊します。

次はバブル経済が崩壊した3つの原因をお伝えしていきたいと思います。

一見日本中の景気が良くなり、「素晴らしい時代だった」とその当時を経験した人なら思うかもしれませんが、バブルが崩壊した理由は意外にも政治家によるバブル潰しの政策が原因でした。

 

バブル崩壊の原因①「地価税の導入」

当時は土地を購入すれば勝手に価格が上昇するような状態で、銀行も貸し手を探しているような状態だったため、土地を多く所有している人が多くいました。

 

そのため、「土地を大量に持っているとお金がかかるというやり方にすればいい」と考え、一定以上の広さの土地を持つ企業や個人に税金を課す地価税を導入しました。

これにより多くの土地を保有しているほど支払う税金も高くなるという流れです。

 

バブル崩壊の原因②「総量規制の発表」

総量規制とは、大蔵省が土地の価格を抑えようと行動して1990年3月に発表した制度です。

これは銀行に一定以上のお金を貸すことを禁止した制度で、簡単にいうとお金を貸しすぎないための制度ですが、当時の大蔵省は銀行に対して絶大な権力ありました。

 

総量規制という名の発表は、いうなれば不動産会社にお金を貸すなと銀行に指導するようなものなのですが、効果は絶大で次の日から銀行は一斉にお金の貸し出しをやめたわけです。

 

そうなると、今までは無制限と言っていいほど貸してくれた土地を買うためのお金がなくなります。

結果的に新たに土地を購入出来る人が少なくなるという考えです。

 

バブル崩壊の原因③「公定歩合(金利)の引き上げ」

銀行にお金を借りた場合には金利次第で大きく利子を払う必要があります。

 

バブル経済の地価が上がりすぎる現状を省みて、日銀も重い腰を上げて公定歩合(金利)を1989年の5月に戦後最低だった2.5%から徐々に引き上げ、最終的には6.0%でも到達しました。

 

この結果銀行からお金を借りるのがさらに難しくなります。

ある日銀行からお金を借りる不動産業者が姿を消すことになり、総量規制と合わせて土地を購入することがさらに難しくなったわけです。

 

結果:バブルを潰しすぎる事態になった

3つの政策を1つずつ打ち出していけば結果は変わったかもしれませんが、問題はこの3つの政策を一気に行ったことです。

 

地価税によって土地を保有しているだけでも税金を支払う必要があり、総量規制の影響でお金も全く借りられない状況です。また、6%という高い金利の影響で、利子の支払いを考慮にいれると返済出来ない可能性があるため借りることも難しくなります。

 

徐々に土地を購入する人が減り、地価も少しずつ下がればよかったのですが、「地価税」「総量規制」「公定歩合の引き上げ」の3つを一気にやったため、結果的にある日を堺に銀行からお金を借りられずに土地を購入することができなくなるわけです。

こうなると需要と供給の関係から土地の価格は一気に急落。

 

購入した土地を担保に借りていたお金を返しきれなくなった企業や個人が溢れかえり、そして地価が急落した影響で担保として取り上げた土地を売っても返しきれない借金が膨大だったため、不動産会社だけではなく、潰れないといわれていた銀行が倒産する結果を招く事態にまで発展しました。

こうなると、今までの好景気から一転不景気へ変わることになります。

 

バブル崩壊の根本は政治家のバブル潰し

バブル潰し

あなたは政治家と聞いてどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?

「頭が良い「権力者」「エリート」といった日本のトップだからと良いイメージを思い浮かべる反面、「お金に汚い」「都合の良い事ばかり言う」などのネガティブな印象もあるはずです。

 

政治家や公務員は景気の流れに左右されずに一定の年収を貰うことができますが、土地の価格が上がった影響で公務員達がマイフォームを購入できないことから、総量規制という案が発案されたという噂もありました。

 

バブル時代は土地の値段が上がりすぎていることを問題に考えた当初、バブルが崩壊した3つの原因である「地価税」「総量規制」「公定歩合の引き上げ」は有識者には事前に情報が伝えられたようですが、いきなりやれば日本だけではなく世界を巻き込んで混乱を引き起こすため、頭の良いお役人なら行わないだろうという考えがあったようです。

 

しかし、その思惑は外れて同時に行ったため、強引に日本の行き過ぎた景気は落ち込みます。

不動産や株式市場へのお金が一気に流れ込んだといはいえ、自然に上がった景気は徐々に落とすことが自然です。しかし、この3つの政策を打ち出して一気に景気を落としたため、日本の経済は混乱して不景気へと突入します。

 

当時は不動産会社は軒並み倒産していましたし、バブル崩壊の影響で飛行機をハイジャックする事件などが発生したほどです。

 

それほど根付いたルールを根底から覆す政策であったのですが、行き過ぎた景気を落とそうと考えた結果、バブルを潰しすぎたことが今でも尾を引きずり日本経済の影響を与えています。

 

バブルが再来?再び起こる好景気の周期

バブルの再来

バブルの崩壊は景気の落ち込んだり、多くの企業に大打撃を与えますが、実際にバブル経済の景気の良さや噂を聞くと「もう一度バブルが来ないかな…」なんて考えませんか?

 

ただ、バブルで痛い思いをした人からすれば、一時的な好景気で長期的に大きな負債を国も企業も個人もしたのですから、景気が良くなるだけならまだしも、行き過ぎた景気であるバブル経済は必要ないと考えています。

 

しかし、バブルの最中は誰もバブルだと思わないという特徴があります。

「空前の好景気だ」「日本経済の発展は永遠だ」となぜか誰もが信じてしまい、結果的にバブルが弾けた後に大損をする可能性があるわけです。

 

そして、バブルというのは大きいものと小さいものがありますが、大体30年周期で起きると言われています。

 

それはなぜか分かるでしょうか?

 

その理由はバブルが弾けた時の痛みを忘れるためです。

つまり、バブル経済を経験して痛い思いをした人はバブルに踊らないのですが、その現役世代が経済の中心から消えて、「バブルをもう一度」なんて人が経済の中心を占めるようになると、再びバブルが起きやすいといわれています。

 

バブル前兆のサインは、株価が上がると普通ではこれ以上は株価は上がらないと考えれるものがあるのですが、「もっと株価は上がる」「充分な理由がある」といった新手の経済理論を唱える人が現れます。

そして、「更に株価は上がる」「別に今はバブルではない」と言い始めるひとが増え始めたら要注意です。

 

バブル経済は単純に景気が良いだけではなく、本来持っている経済の力を超えた行き過ぎた景気です。もちろん、一時的な景気の良さに収入も増えますし、雇用も生まれるでしょう。

ただ、やはり膨らませすぎたものはいつか弾けることを考えれば、萎みすぎず、膨らみすぎない適度なバランスが経済にも必要だということです。

 

バブル経済は約30年前のことになりますが、どういう流れで生まれて崩壊したのかを知り、経済の流れを読み取れるように意識することが同じ道を歩まない方法かもしれません。

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