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投資信託で税金を収める必要はある? 確定申告の是非と確認方法

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資産運用で投資信託を利用している人は多くいますが、投資信託で利益を得た場合には税金が発生する場合があります。ただ、投資信託を始める人の多くは運用を専門家に任せているので、投資の知識や発生する税金に関しては知らないという人も少なくありません。

 

なかには税金が発生すること自体を知らない人もいます。

税金の納め方は取引する口座の種類によって異なり、場合によっては自身で確定申告をする必要がありますが、サラリーマンであれば年末調整など会社で行ってくれるので、税金に関しての知識や納税の経験がないのは当たり前です。

しかし、投資信託での利益を納税せずにいると脱税になりますので、後で後悔することにもなりかねません。

 

今回は投資信託で発生する税金をお伝えしつつ、確定申告が必要か不必要かを解説していきたいと思います。投資信託で発生した利益で税金を支払うのは当たり前ですが、納税忘れで利益を失わないようにしておきましょう。

 

投資信託で確定申告が必要な人と不必要な人

投資信託も投資ですので、原則として発生して利益に対して税金が発生します。ただ、全ての人に税金が発生するわけではありませんし、確定申告の是非は異なります。

 

投資信託には基本的に2つあり、1つが「株式投資信託」で2つ目が「公社債投資信託」です。

「株式投資信託」は株式を基本として運用する投資信託であり、「公社債投資信託」は株式は組み込まずに国債や社債を中心に運用する投資信託になります。

 

この2つで確定申告が必要な人は、基本的に特定口座と一般口座を利用している人です。

株式投資信託で確定申告が必要な人

投資信託を購入した人の多くは、この株式投資信託を中心に運用しています。

この株式投資信託で確定申告が必要なひとは、特定口座(源泉徴収あり)と一般口座を利用している投資家が対象です。NISAを利用する場合には新規投資額で毎年120万円が非課税になりますが、NISAには非課税期間や損益通算することができないなどのデメリットもあるので注意しておきましょう。

 

以下は投資信託で発生する2つの利益、「譲渡益」と「分配金」で発生する口座の種類と税率をまとめたものになりますが、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座の2つを利用して譲渡金が発生した場合のみ確定申告が必要だとわかります。

取引口座 所得・課税区分 税率 確定申告
譲渡益 特定口座
(源泉徴収あり)
【譲渡所得】
申告分離課税
20.315% 原則不要
特定口座
(源泉徴収なし)
原則必要
一般口座
NISA口座 非課税 不要
分配金 特定口座
(源泉徴収あり)
【配当所得】
申告分離課税
または
総合課税
20.315%

(総合課税選択時)
累進税率

原則不要
特定口座
(源泉徴収なし)
一般口座
NISA口座 非課税 不要
分配金は原則として確定申告の必要がありませんが、源泉徴収ありの特定口座以外で受け取った分配金を上場株式や投資信託の譲渡損失と損益通算するタイミングや配当控除の適用を受けるときには確定申告が必要になります。
恐らくほとんどの人はこの株式投資信託を中心としていると思いますが、投資信託でも国債や社債のようなローリスクな運用をしている人もいると思いますので、次は公社債投資信託の取引で確定申告が必要かを確認したいと思います。

公社債投資信託で確定申告が必要な人

取引口座 所得・課税区分 税率 確定申告
譲渡益 特定口座
(源泉徴収あり)
【譲渡所得】
申告分離課税
20.315% 原則不要
特定口座
(源泉徴収なし)
原則必要
一般口座
分配金 特定口座
(源泉徴収あり)
【利子所得】
申告分離課税
または
申告不要
20.315% 原則不要
特定口座
(源泉徴収なし)
一般口座

国債や社債などでは、NISA口座が利用することができません。そして、分配金が利子所得となる部分も注意が必用です。

総合課税が選択できないところは株式投資信託とは異なりますが、特定口座の源泉徴収なしと一般口座で確定申告が必要になるため、基本的な部分は同じです。

 

投資信託で確定申告が必要な人は「源泉徴収なしの特定口座」「一般口座」の人

個々までの説明で分かるように、投資信託で確定申告が必要になる人は一般口座か源泉徴収なしの特定口座になります。

そのため、源泉徴収がない場合の特定口座と一般口座で投資信託を取引し、利益が発生した際には確定申告が必要になるので注意しましょう。次はそれぞれの口座での確定申告について詳細を解説していきたいと思います。

 

源泉徴収なしの特定口座での運用

特定口座で「源泉徴収なし」を選択して開設した場合には、証券会社の損益計算のみされるので、税金の源泉徴収と納付は行いません。そのため投資信託で利益が発生した場合には翌年の1月に発行される特定口座年間取引報告書をもとに確定申告する必要があります。

 

この特定口座年間取引報告書は、年間での取引履歴と損益の内容を示したもので、それぞれの証券会社で方法は異なりますが、簡単に発行することができるようになっています。

 

一般口座での運用

一般口座では年間取引報告書が発行されません。

そのため、自身で年間の損益を計算して確定申告を行う必要があり、取引が多くなるほど計算が複雑になるため注意が必要です。ただ、投資信託では長期運用を前提とした分散投資を行えば、短期間での取引は多くならないはずのでそこまでの手間にはならないはずです。

 

投資信託で確定申告が不要な人は「源泉徴収ありの特定口座」「NISA口座」の人

投資信託で確定申告が必要な人は、一般口座と源泉徴収なしの特定口座になりますが、逆に確定申告が不要な人は、源泉徴収がある特定口座を利用している人かNISA口座を利用している人になります。

 

この2つで投資信託を運用した場合には確定申告が不要になりますが、次はこの2つの口座でなぜ確定申告が不要なのかを解説していきます。

 

源泉徴収ありの特定口座で運用

投資信託における特定口座とは、個人口座を対象に証券会社が上場株式や投資信託などで発生した損益を計算し、年間の取引明細や損益をまとめてくれる「特定口座年間取引報告書」を交付してくれる口座になります。

 

特定口座で源泉徴収ありを選択するだけで、取引することで証券会社が自動的に源泉徴収を行なって納税をしてくれるので、利益が発生しても確定申告が原則として不要になります。

NISA口座での運用

NISAは、NISA口座(非課税口座)内で毎年、一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。

 

このNISAを利用することで、投資信託で発生した利益に対して上限はあるものの支払う税金を抑えることができます。

対象者や非課税投資枠(金額・期間)などによって「一般NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」に分かれますが、いずれの制度も、非課税口座内で生じた利益には税金がかからないため確定申告は不要だと覚えておきましょう。

 

確定申告をしたほうが得になる例

確定申告は口座によって申請する必要があったり、発生した利益次第で行う必要がありますが、何もそれだけではありません。

それは課税される利益がなく損失が発生した場合、確定申告をする必要は本来ありませんが、損失が発生した場合には確定申告をしておくことで得をする例もあります。

 

翌年以降に損失を繰り越す「繰越控除」

投資信託や株式投資では、その年に利益から控除しきれない損失が発生した場合、確定申告を行うことで損失を最大で3年間繰り越すことができます。

繰り越した損失は翌年以降の利益から控除することができるので、税負担が軽減されてお得になります。残った損失を2年目以降も毎年確定申告を行う必要があったり、NISAでは適応できないことも注意点としてありますが、損失分を翌年の利益と相殺して税金を支払わなくても良いようにしておきましょう。

<繰越控除>

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
年間損益 ▲50万円 ▲20万円 40万円 0万円 50万円 20万円
2015年
からの
繰越損失
▲50万円 ▲50万円 ▲10万円
2016年
からの
繰越損失
▲20万円 ▲20万円 ▲20万円
その年の
課税所得
0円 0円 0円 0円 30万円 20万円
確定申告 必要 必要 必要 必要 必要 不要
(任意)

他社の証券口座の利益と相殺する「損益通算」

特定口座内で生じた利益と損失は自動的に相殺(損益通算)されるが、対象はその口座内で生じた損益に限られます。

複数の証券会社で取引をしている場合、口座をまたいで損益通算を行うためには確定申告が必要になるので注意しておきましょう。

A社特定口座(源泉徴収あり):10万円の損失
B社特定口座(源泉徴収あり):30万円の利益
C社特定口座(源泉徴収あり):20万円の利益

上記の例では、確定申告を行うことでA社の損失とB社・C社の3つの利益を相殺できます。

確定申告を行うかどうかは口座ごとに選択できるので、損益通算を行う口座のみ申告するだけで問題ありません。

また、A社とB社の口座について申告を行う場合、利益が300万円から200万円に減り、減少した100万円の利益から源泉徴収されていた税金が還付されるようになっています。

 

総合課税で配当控除を受けたほうが有利なとき

投資信託の分配金は支払時に税金が源泉徴収されるので、確定申告は原則として必要ありません。

 

ただ、株式投資信託の分配金は確定申告を行い、総合課税を選択して「配当控除」を受けることもできます。このとき、所得税と住民税でそれぞれ異なる課税方法を選べましょう。

 

所得税は納税者本人の所得金額、投資信託の投資対象に占める外貨建資産・株式以外の資産の割合によって実際に負担する税率(表中、実質税率)が以下のように変わり、その条件次第では総合課税を選択したほうが有利になります。

ちなみに住民税は申告不要を選択するのが常に有利なっています。

<外貨建資産・株式以外の資産への投資割合が50%以下の場合(投資信託)>

課税所得金額 累進
税率
配当
控除
実質
税率
源泉徴収
税率
課税方法
選択の目安
所得税
195万円以下 5% 5% 0% 15% 総合課税が有利
195万円超330万円以下 10% 5% 5%
330万円超695万円以下 20% 5% 15% 申告不要が有利
695万円超900万円以下 23% 5% 18%
900万円超1,000万円以下 33% 5% 28%
1,000万円超1,800万円以下 33% 2.5% 30.5%
1,800万円超4,000万円以下 40% 2.5% 37.5%
4,000万円超 45% 2.5% 42.5%
住民税 1,000万円以下 10% 1.4% 8.6% 5% 申告不要が有利
1,000万円超 0.7% 9.3%

<外貨建資産・株式以外の資産への投資割合が50%超75%以下の場合(投資信託)>

課税所得金額 累進
税率
配当
控除
実質
税率
源泉
徴収
税率
課税方法
選択の目安
所得税
195万円以下 5% 2.5% 2.5% 15% 総合課税が有利
195万円超330万円以下 10% 2.5% 7.5%
330万円超695万円以下 20% 2.5% 17.5% 申告不要が有利
695万円超900万円以下 23% 2.5% 20.5%
900万円超1,000万円以下 33% 2.5% 30.5%
1,000万円超1,800万円以下 33% 1.25% 31.75%
1,800万円超4,000万円以下 40% 1.25% 38.75%
4,000万円超 45% 1.25% 43.75%
住民税 1,000万円以下 10% 0.7% 9.3% 5% 申告不要が有利
1,000万円超 0.35% 9.65%

もしも、外貨建資産・株式以外の資産への投資割合が75%超の場合は配当控除が適用されないため、総合課税を選択するメリットはないので注意しておきましょう。

 

一般的には課税所得金額が330万円以下であれば、確定申告をして配当控除を受けるほうが有利になると覚えておきましょう。

 

ただ、総合課税を選択すると、他の上場株式などの譲渡損失との損益通算ができないので課税所得金額が増えて配偶者控除などに影響する可能性もあります。

その点を考慮にいれて考えておきましょう。

 

6.投資信託の確定申告は状況次第で考える

投資信託で確定申告をしなければならないのは、開設している口座だけではなく、投資信託による運用成績によっても左右されます。

 

ただ、確定申告をしたほうが良いケースまで知っていれば、より有利な選択で支払う税金を抑えたり、損失を補う効果もあります。

必ず覚えておくべきではありませんが、それでも少しでも有利になるのであれば、ぜひ知っておいてうえで判断できるようにしておきましょう。最低でも、確定申告をすれば損失の繰越控除や他社口座との損益通算ができることは覚えておけば十分です。

 

 

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