年金は老後いくら貰えるのか?年金の受給の基本知識と計算方法

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年金は老後いくら貰えるのか?年金の受給の基本知識と計算方法

あなたは年金をいくらもらえる?年金受給額の計算方法

年金受給額

ここまで説明した公的年金を受給する人は、国民年金である「老齢基礎年金」と厚生年金の「老齢厚生年金」の2つの年金を最大でも受け取ることになるはずです。

先程解説した国民年金の平均受給額は月額55,946円で厚生年金は144,366円ですので、2つとも受給した際には約20万円程度の金額となりますが、厚生年金では納める保険料は収入に応じて金額が変動することもあり、その分老後に支給される受給額に影響を及ぼします。

 

つまり、収入次第で支払う納付額も異なるということです。

例えば、先程男性に比べると女性のほうが受給額の平均が低いことをお伝えしましたが、これは結婚による子育てや退職といった勤務期間の少なさから収入が減ったことが関係しています。

 

こういった人によって受け取れる受給額は異なるため、一言で将来受け取る年金をいくらかを考えたとしても、納付金額と納付期間で異なります。また、国民年金は比較的金額は変わりませんが、それでも保険料を納めた月数に比例するので納付の免除申請などを行っていた場合にも変化します。

 

単純に長く多く支払えば貰える年金額は増えることになりますが、実際に老後にもらえる具体的な受給額を知るために国民年金と厚生年金の2つの年金制度ごとに計算方法について解説していきたいと思います。

国民年金で受け取れる受給額の計算方法

国民年金は厚生年金と違って全員が加入することができます。基本的に20歳になったら支払うことになりますが、まだ学生で経済能力が不足している場合、家庭の事情や奨学金の返済といった事情から就職後に毎月納付するのが厳しいという人も少なくありません。

 

そのため、保険料の免除や納付猶予の申請で経済的な負担を減らせるように考えられており、20歳になったからといって必ず支払うという人ばかりではありませんが、当然のことながら最初からずっと納付していた人と後から納付した人とでは年金の受給額には差が生まれます。

 

国民年金は比較的分かりやすく、基本的には納めた月数に比例して受け取れる受給額を計算することができ、仮に20歳〜60歳までの間(480ヶ月)に全て支払っていれば満額受給することができます。

国民年金受給額の計算方法
【年金額×(保険料の納付月数÷480ヶ月)】

2021年(令和3年)の国民年金の満額は78万900円となっていますので、仮に30歳から支払い始めて納付期間が30年の場合には【780,900×(360÷480)】という計算になり、4分の3である年間58万5,675円を受け取ることができる事になります。

納付を「全額免除」または納付金額の「減額」を申請していた場合

国民年金保険料の納付がすぐにできず、納付の全額免除や納付金額の減額を申請していた場合には将来貰える年金は減額される事となります。

もしもあなたが過去に「納付金額の減額」を申請していたり、「全額免除」を申請していた場合にはどれぐらい減額されるのかを確認するためにも以下を参考にしてみましょう。

納付金額 減額内容
全額免除 免除月数×1/2
本来の納付額の1/4 免除月数×5/8
本来の納付額の1/2 免除月数×6/8
本来の納付額の3/4 免除月数×7/8

免除申請をしていた期間によって減額内容は異なるものの、基本的には納付額が多ければ多いほど老後に貰える年金は多く、逆に納付額が少なければ老後の年金は少なくなります。ただ、老齢基礎年金は早く受け取りたい場合には60歳からの繰り上げ受給が可能です。

その場合、1ヶ月ごとに繰り上げると年間月額0.5%が減額されるので注意しておきましょう。

 

5年間繰り上げると30%もの減額が発生するので安易に繰り上げ受給するのは損をすることになりますが、反対に1ヶ月あたりの年金受給額は増やしたい場合には最大5年間の受給開始時期を繰下げることができるため、その場合には1ヶ月繰り下げるごとに年金月額が0.7%増額し、5年間繰り下げると42%の増額を見込めます。

 

厚生年金で受け取れる受給額の計算方法

厚生年金の受給額については国民年金よりも複雑になります。それは、毎月貰っている給与や賞与に応じた納付額が人によって異なり、納付した保険料に連動して変わる仕組みなためです。

 

厚生年金で納付する保険料は、支払われた給与をベースに計算した標準報酬月額賞与の2つ元に算出するため給与が多ければ比例して毎月の保険料も多くなります。もちろん、その分将来貰える老齢厚生年金も増える事となります。

ただ、厚生年金における保険料は会社が半分拠出する事になり、令和3年度時点での厚生年金の保険料率は18.3%で、そのうち会社と折半した9.15%が加入者の負担分となります。

 

そして、国民年金と異なり厚生年金の受給額を計算するうえで複雑になる理由が加入した期間によって計算方法が違うためです。

厚生年金受給額の計算方法
2003年3月以前 平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月以前の加入月数
2003年4月以降 平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数

厚生年金の年金額の保険料は納めた月数や給与だけではなく、加入期間が2003年(平成15年)の3月までなのか4月以降なのかで計算式がやや異なり、さらに条件を満たせば加給年金や長期加入者特例なども受けられることから、金額は人によって大きく違いが発生します。

 

この計算式の違いは、平成15年4月以降から賞与(ボーナス)に対しても保険料が課されるようになったためです。

人によって収入も異なることから納付する保険料や老後の年金額も異なるため、ここでは計算をしなくても年金受給額を知る方法を2つご紹介したいと思います。

日本年金機構のWebサイト「ねんきんネット」

年金参照:日本年金機構

「ねんきんネット」は日本年金機構が運営するサイトであり、年金記録や将来もらえる年金見込額がパソコンやスマートフォンからいつでも確認が可能となっています。

また、利用登録を行いログインをすることで、現在まで支払った年金保険料から予測される年金受給額や持ち主が不明の年金記録から自分のものがないか検索できるなどかなり役立つサイトとなっており、その他にも「ねんきんネット」では以下の事が利用可能となります。

  1. 自身の年金記録の確認
  2. 年金見込額の試算
  3. 持ち主不明記録検索
  4. ねんきん定期便、通知書の確認
  5. 届書の作成
  6. 通知書再交付申請

ねんきんネットはアクセスキーが有無の登録方法が異なり、アクセスキーがなければ利用開始まで時間を取られていますので気をつけておきましょう。

毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」

年金定期便

「ねんきん定期便」は、国民年金や厚生年金に加入しているひとを対象に贈られる年金加入記録になります。これは年金制度への理解を深めることを目的として年金加入期間や保険料納付の実績といった年金に関する情報が日本年金機構、厚生年金の各実施機関から送付されるものになっています。

基本的に毎年誕生月に加入者には届くようになっているため、ご存知の人も多いかもしれませんが忘れずに確認するようにしておきましょう。

 

ただ、紹介したこれら2つ以前に、今の年収で将来どれぐらい厚生年金をもらえるのかすぐに知りたいと言う人も多いと思います。そこで、次は年収別に将来もらえる厚生年金の額をご紹介していきます。

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