FXをやっているトレーダーであれば、FOMC(エフオーエフシー)は無視できない経済要因です。
FOMCの説明をしたときにもお伝えしましたが、FRBの二大命題はインフレの抑制と雇用の最大化になります。
つまり、インフレの動向もFOMCをチャンスに売買をFXで行う場合には、チェックを欠かさずにファンダメンタルズとして分析する必要があります。インフレ関連の経済指標は、アメリカの金融政策を読む材料にもなりますし、将来的な為替レートの予測にも役立ちます。
金融政策の場で1番重要視されているのはPCEコアデフレータになりますが、言葉を聞いただけ「なんだこれ?」と難しく見えてしまいますよね。
特に経済関連のことは、なんとなくで済ませている人も多いですし、FXではチャートを中心としたテクニカル分析を行って利益を狙うトレーダーが圧倒的に多く存在しています。
しかし、前文でも述べたようにインフレを測ることは、今後の為替市場の値動きを左右するFOMCにも大いに影響を及ぼす重要な要因です。
そのため、今回はFXを始めたばかりの初心者でも分かるように、インフレを測ることができる3つの経済指標を分かりやすく解説していきたいと思います。
「難しそう…」「理解できるかな?」と経済指標への理解に不安があるFX初心者。
そして、これを機に少しずつファンダメンタルズ分析を取り入れたいというFXトレーダーの人は、ぜひ読んで理解を深めていきましょう。
インフレとは?
FXでも無視できない!? インフレ予測の3指標
FXをしているトレーダーであれば、大きな為替変動の要因である経済要因は無視できないものです。
特にインフレに影響する経済指標の場合、ダイレクトにFOMCの内容や景気の反映するので、変動の要因としては直接的な関係はないものの、ファンダメンタルズで分析するのであればチェックしておくべき指標です。
- 消費者物価指数(CPI)
- 生産者物価指数(PPI)
- 個人消費収支(PCE)デフレータ
この3つの指標のなかでは、消費者物価指数(CPI)は、金融政策を動かす大事な指標になりますが「一時的に冷遇」されています。
なぜなら、今の景気が悪くても金利が動かないためCPIが上昇しようと、下降しようと金利は動かないと大勢の投資家が考えているからです。
FRBはFFレートを長期にわたって文言を残したうえで市場の予測どおりに0〜0.25%のレンジに据え置くという状態が続いていたからです。
ただ、金利が動く時には、CPI・PPIは非常に重要な指標になりますので、注意しておきましょう。
FFレートとは?
消費者物価指数(CPI)
引用元:総務省統計局
消費者物価指数(CPI)は、総務省統計局が毎月発表する統計データで都市部の消費者を対象に小売・サービス価格調査結果になります。
日本では全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定しており、家計の消費構造を一定に固定して、これに要する費用が物価の変動によってどのように変化するかを指数で表しています。
簡単にいえば物価の水準を測定したものですが、発表される内容は米国消費者物価指数の全体を表す「総合指数」と、価格変動が大き良い食品を除いた「コア指数」があります。
商品・エネルギーは季節的な要因に影響を受けやすいため、「コア指数」がFX(外貨為替市場)では注目されています。国民の生活水準を示す指標の1つで、インフレ率を分析するための最重要指標になります。
日本銀行などでは金融政策における判断材料として利用しているほか、賃金や家賃、公共料金改正の参考に使われることも多く、幅広く利用されています。
経済の体温計とも呼ばれる消費者物価指数
消費者物価指数は、簡単にいってしまえば物価の上昇率と下落率を示すものです。
1982〜1984年の平均値を100として全米人口の87%を占める都市部の物価を表し、対象品名は2000項目以上にもなります。
経済の体温計とも呼ばれ、経済政策を的確に推進するうえでは重要に指標になっているほか、家計調査やGDP統計における家計消費支出などの他の経済指標に実質化するためのデフレーターとしても利用されています。
デフレーターとは?
生産者物価指数(PPI)
引用元:米労働省労働統計局
生産者物価指数(PPI)は米国国内販売業者の販売価格約1万品目を対象に、出荷時点での価格を調査したデータになります。
海外からの輸入品は対象外で、生産物価指数は「業種別」「商品別」「製造過程別」に分類され、製造過程別はさらに「完成品」「中間財」「原材料」に細かく分類されています。
中でも特に重要視されているのは、「完成品」の生産者物価指数で変動の大きい食品やエネルギーを除いた「コア指数」に注目が集まります。
アメリカでCPI同様に注目度が高い
日本を含め、生産者物価指数(CPI)を重視する国が多い中ですが、アメリカではどちらも重要になってきます。
消費者物価指数は物価の変動を消費者側から測るものですが、生産者物価指数は生産者側から測るものになりますので、消費者物価指数と合わせてみることで消費者である私達国民と生産者である企業側とでの変化の違いと誤差の修正を行うことができます。
しかし、変動しやすい要素であるエネルギーと食品のデータは正しいデータを歪める可能性があり、除外した「コア指数」が重要だとされています。サービス産業など全ての産業が網羅されているわけではないので注意しましょう。
個人消費支出(PCE)デフレータ
引用元:Yahooファイナンス
米国の個人が1ヶ月の間に消費収支した金額を集計したものが個人消費支出(PCE)になります。
PDEは実際に収支した金額をそのまま(各項目)なので、物価が上昇した分を考慮した実質値に換算するためにデフレータが発表されています。
変動が激しい食品とエネルギーを除いたコア部分のデフレーターは、FRBがインフレを把握する際の判断材料として利用もされているため、特に重要になっています。
個人消費支出(PCE)は、米国商務省経済分析局が米国の個人所得と個人消費についての関係を調査した景気関連の経済指標です。
詳しくいえば、耐久財(自動車や家電製品)、非耐久財(食品や衣料品)、サービス収出(旅行や外食)といった私達の生活に関わる3つの要素から構成されているため、非常に国民の消費動向を予測する役に立ちますので、アナリストなどは欠かさずにチェックする指標でもあります。
個人収出が増えると収入も増えて雇用が良好であることが多いと言われるので、ある種雇用統計ななどの指標を予測するのにも一役買うはずです。
3つの中では最も重要度が高い指標
GDPの約70%を個人消費が占めている米国では、個人消費支出はGDPの先行指標にもなっています。
PCEコアデフレーターは調査対象が広く、生活必需品ともいえるべき物への消費動向を掴むことができるので、インフレの度合いを測るのに有効になっており、実際の物価動向を反映しているといわれています。
FRBが最も重要視している物価指標でもあるので、FOMCへの対策としてPCEコアデフレーターをファンダメンタル分析のなかでも重要と考えている投資家も少なくありません。
インフレはなぜ起こる?
景気が良くなると、私達が働いている会社でのサービス・食品・商品といったものが沢山売れるようになります。
売れると当然会社は儲かりますので、会社で働いている従業員の給料も増えます。
モノが売れると原材料が足りなくなり、供給が足りないような状態になりますので、当然供給にあたる原材料の価格は高騰します。
それでも欲しいひとが数多くいれば、さらにモノの値段は上がり、こうして物価が全体的に上がるのがインフレです。
CPIとPPIの2つより重要なのはコア指数
常識的に考えるなら、消費者物価指数が高くて生産者物価指数が低いという状況はあり得ません。
2つの指標はゆるやかに2%ずつくらい上昇していくのが理想です。しかし、生産者物価指数は上がっていても、消費者物価指数が上がらないという状態は稀にあります。
これは、原材料(供給)が上がっているのに商品に転換できていない状態だということです。
こうなると景気的には最悪で、いずれの指標も「コア」が重要視されます。
ただ、アメリカの場合は「コア」は食品とエネルギーを除いたものになります。これは季節的な要因を受けやすいためです。日本の場合は「コア」は食品だけを除いたものといったように国ごとに変化します。
それぞれ3つの指標は、国の消費者(国民)の支出や価格の調査結果になりますので、国全体の購買欲や消費状況などの把握を可能にし、将来的な景気状況の予測に大いに役立つ指標になります。
私達が普段使用している身近なモノの価格や購入額といったものを国全体、いわば国の家計簿のようなもので将来の景気や経済状況を把握するといえばイメージしやすいかもしれません。
その家計簿からさらにGDPなどの大きな指標への布石となるような情報がちらばっていますので、大きな指標の数字を確認するだけではなく、大きな指標に関係している先行指標を中心として確認し、分析・予測することをこの3つの指標と「コア指数」から把握できるようになりましょう。
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