近年不動産投資では、アパートやマンションの物件を購入する人が多くいます。ただ、そんな中でファミリー層をターゲットとした中古の戸建て物件をリフォームして賃貸にするやり方が、不動産投資投資する人の中でも人気になっていることをご存知でしょうか。
首都圏を除けば地方の戸建て物件は価格がかなり安い物件も多いため、数百万円で投資できることも興味を抱いている人が多い理由です。
特に不動産を掲載しているサイトを見てみれば、数百万円で利回りの高い物件というのは意外と多く、アパートや区分マンションと比べると利回りが一般的に高いといった特徴からも戸建てのリフォームでの貸し出しを検討している人は少なくありません。
ただ、中古の戸をリフォームして賃貸物件として貸し出す不動産投資の方法は、オススメではありません。これは価格の安さから入居者候補が少ない可能性など、難易度が高いためです。しかし、購入金額の安さや利回りの高さといったメリットもあるため、発生する手間や問題点を解決できるのであれば魅力的といえます。
今回の記事では、不動産投資における戸建て物件がオススメできない理由とともに、オススメできる場合はどのようなケースかはお伝えしたいと思います。
不動産投資では戸建て物件も候補として考える人は多くいますが、それでも向き不向きや物件次第で大きく状況や損益が異なりますので、ぜひ不動産投資における物件選びの参考にしてみましょう。
不動産投資で「戸建て物件」がオススメできない理由
戸建てといえば、所帯を持ったサラリーマンがマイホームとして夢見る1つです。仮に購入に及ばなくともそういったファミリー層に戸建ての物件というのは人気で、入居需要は少なくありません。また、戸建て物件の購入を検討している人からみても、物件価格の安さや利回りの高さというのは魅力的に映るはずです。
しかし、そう美味しい話ばかりではなく、戸建てへの投資は相応のリスクやデメリットが発生することを忘れてはいけません。例え中古で見栄えや内装が悪くても、リフォームを業者に依頼するやり方を考える人も多くいますが、実際には失敗している人も多くいるため、なぜ失敗することが多いのかを知っておきましょう。
リフォーム費用が高額なことがある
新築の戸建て物件を不動産投資で考える人はいないはずですが、中古の戸建てであれば価格は大きく下がるため、投資用の検討する人は少なくありません。特に地方で戸建て物件であれば数百万円で購入できるほど価格が安い傾向にあり、利回りも高いことがほとんどです。
しかし、そのままの状態では借り手が見つからないため、実際には購入後にリフォームをすることがほとんどです。一見利回りが安くとも、それはあくまで表面利回りで実質利回りは低くなることを理解しておかなければいけません。
そして、当然ですがリフォームの内容や状態回復工事次第で費用は大きくなりますので、利回りが大きく下がってしまう例が多くなっており、仮に築30年以上の戸建て物件を内装・外装ともにリフォームすれば約250万円〜400万円ほどの費用が発生します。そして、状態次第ではさらに金額は変わることを考えれば、基本的に以下の3つで価格を抑えるといったやり方をする人もいます。
・業者に依頼せず自分で掃除する
・安価な設備をホームセンターやネット通販で探す
・DIYとしてクッションフロア(CF)の張替えや壁の塗装を自分で行う
この3つを自身で行なうことで、中古の戸建て物件で発生する清掃や修復工事、リフォームといった諸経費を抑えることができます。もちろん、この3つのやり方は購入者自身で行なうため手間が発生しますが、初期費用は安く抑えつつもかなり高い利回りが実現できます。
ただ、都内で働いているようなサラリーマンが地方の戸建て物件に時間を割くのは非常に難しいのが現実です。しかし、リフォームを業者に依頼すれば費用が高くなって利回りが低くなることから、中古の戸建て物件で得られる恩恵がなくなってしまうことになります。
それに加え、退去時には一軒家まるごと修繕工事で経費が発生するため、その都度必要経費が発生してコストが高くなります。費用を抑えるためにDIYや清掃するという選択肢は、中古物件に対して現在住んでいるところから近く、DIYや清掃をしてでも購入費用を抑えたいという時間に余裕がある人が可能なため、難易度が高いことがわかります。
修繕と管理の手間が大変
中古の戸建て物件がほとんどの人にオススメできないのは、発生する手間がとても大きいことが挙げられます。中古の戸建では、マンションのように管理会社に管理を委託せずに自身で行い、入居者募集のみを賃貸仲介業者に依頼するパターンが多くなっていますが、中古の戸建て物件では修繕や管理にかなり手間がかかります。
この原因となるのは購入する物件の立地で、価格が安いということは単純に中古というだけではなく、地方や郊外に立地しているため基本的に交通のおけるアクセスがよくありません。そのため、購入した後に管理するには移動するだけでも時間を取られ、管理まで含めるとかなりの労力と時間を必要とします。
しかし、その弱点を補おうとすれば、都心部で中古の戸建てを購入する必要があるため、購入価格が高くなり、利回りが下がってしまいます。これでは戸建て物件への不動産投資で得られるメリットがなくなってしまうことになります。
ただ、戸建てでのちょっとした修繕は入居者で対応するケースが多いため、長く入居者に住んでもらえれば管理が楽であるというメリットもあります。それでも頻繁に退去がある場合には修繕の手間も費用もその都度発生するため、気をつけておきましょう。
もしも戸建てへ投資する際には、管理会社を利用することがオススメです。多少賃貸収益は減ってしまいますが、それでも管理会社を利用することで本業が忙しい人でも戸建て投資で発生する手間を大幅に省くことができます。
入居需要の見極めが困難
不動産投資では、単純に物件価格や立地以外にも入居者候補となるターゲットがいるかという需要を見極める必要があります。それは、戸建て物件は区分マンションへの投資と同じで貸し出せる物件が1つしかないためです。
もしも入居者がおらず空室が発生すれば、その時点で家賃収益がなくなることになるため、こういった空室のリスクを軽減するためにも戸建て物件を探す際には周辺エリアや賃貸相場や入居者需要をしっかりと調査しておく必要があります。
特に戸建て物件を金融機関から融資を受けて購入する場合には、購入してからしばらく空室が発生しても返済に困らないように対策しておくことが重要です。
収益増加が見込みずらい
戸建て物件の場合、基本的に中古での経営となります。不動産投資の中でも投資金額も少なくなっていますが、その分家賃収入も少なくなるため、資産増加を早めにしたい人からすれば不向きになります。
中古の戸建て物件では複数購入で経営していくことでこの弱みを抑えることもできますが、現金での購入であればレバレッジ効果も得ることができず、2件目の物件を検討したい人からすれば資産に対する余裕がなくなることになりかねません。また、物件を1件ずつ購入していく手間を考えれば更に負担は大きくなるため、その分中古のアパートを一棟購入するほうが効率的というのが現実です。
戸建て物件へ投資するのが向いている人
ここまで不動産投資において戸建て物件への投資が不利であることを解説しましたが、それではどういった人になら戸建て物件が向いているのでしょうか。投資する人が全て損をしているのであれば、そもそも戸建てへ不動産投資をする人はいないはずです。
しかし、実際には成功している人がいるのも事実。その成功しているオーナーのやり方には、戸建てを経営するのに向いている理由があるからになりますが、次は戸建てへの不動産投資で成功する可能性が高い傾向にある向いている人をご紹介したいと思います。
戸建て物件には戸建ての良いところもありますので、ぜひ戸建てへ投資するのに向いているひとの特徴やケースを知っておきましょう。
生活に時間がある人
ここまでの内容で説明したように、戸建て物件では不動産投資で発生するリスクに加えて手間がかかる点が挙げられました。中古の戸建てへの投資はリフォームを基本的に行いますが、出来る限りリフォームのための費用を抑えるのは戸建て物件で成功するためには重要になります。
そのため、工事を安くしてくれる業者や自身でDIYをしたりするといった方法が必要になりますので、基本的には日中働いているサラリーマンには不向きであり、必然的に時間に余裕がある人が向いているといえます。
また、アパートなどのように経営規模を拡大したいのであれば、物件探しやリフォーム、入居者募集といった一連の流れを複数回繰り返す必要が発生します。つまり、これは遠方で行なうにはかなりの時間がかかるうえ、現場での作業と自宅での情報収集や運用計画を考慮すれば、個人で行なうには現実的ではありません。
リスクを最小限に抑えたい人
戸建て物件への投資では、アパートへの投資に比べると少額で行えるためリスクは小さくなります。仮に一棟アパートの価格が数千万円〜数億円程度必要になるのに対し、地方の戸建てなら数百万円で購入することが可能です。
つまり、戸建て物件であれば金融機関から融資を受けるほど大きくならないため、ある程度の収入や貯蓄があれば借り入れを行わずに戸建て物件を手に入れることができるわけです。そのため、万が一戸建て物件の経営で失敗してもアパートやマンション経営に比べると大きな損失が発生しません。
リスクを最小限に抑えつつ、コツコツと地道に不動産投資を取り組んでいきたい人は戸建て投資に向いていますが、前途でも解説したようにアパートやマンションに比べると利益の拡大が遅いため、低リスクで取り組みつつも軌道が乗れば2軒目や3件目や一棟アパートを購入するという流れもいいでしょう。
戸建て物件のリスクを軽減できる人
働いているサラリーマンなどでは一般的に不向きな戸建て物件ですが、購入する手間やリフォーム費用といった部分のデメリットを補える人であれば投資対象としては悪くありません。
例えば、中古物件で既にリノベーション済みの物件を購入したり、管理を一定期間に行ってくれる時間に余裕がある配偶者や親族にお願いするなどです。こうすることで、リフォームの手間や費用を抑えることもできつつ、自身で行えない管理の手間を補うことが可能となります。
DIYも悪くはありませんが、やはり素人が行なうことを考えれば業者が工事をやっている方が物件的には安全が担保されます。ただ、リフォームが済んでない中古物件を購入するよりも利回りが低くなる可能性が高いため、もしも自身で修繕やリフォーム作業を行って利回りを20%を目指すのであれば、かなり条件が厳しくなるため多少利回りが低くなっても周りにお願いしたほうがいいでしょう。
もちろん、これは経営コストや返済を考えた際に期待通りの収益を見込めることが前提となりますので、しっかりとした情報収集と運用計画を考えておきましょう。
戸建て物件への投資で得られるメリット
ここまで戸建て物件への投資に関して解説しましたが、戸建て物件への投資は初心者にはハードルが高く、条件も厳しいと感じた人は多くいるはずです。中古の戸建て物件を改築して家賃収益を狙うようなやり方は基本的にオススメではありませんが、一部の人には最適であるケースがあるのも事実。
そこで、次は戸建て物件で得られるメリットについても解説していきたいと思います。かなり手間は必要になりますが、それは戸建て物件で得られるメリットはアパートやマンション経営に比べると異なり、大きな利益を望める場合があるため、メリットも把握したうえで一考しましょう。
利回りが高い
戸建て物件で多くの人が魅力されるのには、アパートやマンションと比べると少額にも関わらず高い家賃で賃貸しやすいという理由があります。賃貸用の戸建て物件は共有軒数自体が少なく、マンションやアパートに比べると競合しずらい傾向にあります。
つまり、マンションやアパートのように周辺の家賃相場とは異なるため、想定以上に高い家賃設定でも入居者がいるケースも少なくありません。もしもマンションやアパートであれば、相場以上の家賃は取りづらいため、築年数と比例した得られる家賃収益は下がる傾向にあります。
また、戸建て物件では集合住宅のように管理費や修繕積立金を必要とせず、管理していくために発生するコストを極力抑えることが可能なため利回りが基本的には高くなっています。
立地面で不利な条件があっても賃貸需要がある
一般的に不動産投資では地方や郊外といった駅から離れていたり、立地的に不利な物件は賃貸需要が下がるため不利と考えられています。しかし、これはあくまで入居者となるターゲットが単身世帯であり、単身者は通勤時間の短さを重視する傾向から駅からの距離などが重要になってくるためです。
しかし、戸建て物件の場合には基本的にファミリー層がターゲットになるため、都心や駅から離れていても広い戸建てに住みたいという需要が意外と多くあります。また、地方や郊外などでは自動車での移動が当たり前となっている背景もあるため、あまり駅の近くなどの条件を考えずにその地域の環境を重視する傾向があります。
特にペット可や駐車場、庭付きといった条件はアパートやマンションでは提供できない部分なので、大きな強みとなるはずです。
入居期間が長い
アパートやマンションと違い、戸建て物件にはファミリー層がターゲットとしてあります。つまり、家族で住むため短期間での引っ越しなどは考えづらく、比較的入居期間が長い傾向が戸建て物件にはあります。
ファミリー層は子供を中心とした生活になるので、学校などの問題で単身者に比べると気軽に住居を変えるということはなく、一般的に平均住居期間の6割が4年〜6年、1割は6年以上住み続けることが分かっています。戸建て物件は不動産投資の中でもアパートやマンションとは違った特徴を兼ね備えた物件だと考えておいたほうがいいでしょう。
つまり、不動産投資でリスクに挙げられることが多い空室が、一度入居者が決まれば長い間い解消できることになります。逆に単身者や学生を中心としたターゲットの入居期間は4年以下が7割近くを占めているため、アパートやマンションなどでは空室リスクに如何に対策するのかが重要になってきます。
また、入居期間が長いということは、退去の頻度も少ないことから原状回復費用や入居付けに必要な広告費などが発生しないというメリットも生まれます。
不動産投資の中でも少額で始めることができる
ここまでの内容でも分かったように、戸建て物件は他の物件種別に比べると比較的安く購入することができます。もちろん、購入を考えている地域によっても価格は異なるため一概にはいえませんが、それでも中古の戸建てで数百万円から投資できるものを考えればかなり投資額を抑えることが可能です。
また、買取再販売を行っている業者から購入したとしても、1000万円〜2000万円程度には抑えられるため、一棟アパートと比較すると金融機関からの融資は受けやすくなります。 投資規模が他の物件に比べると小さいため、資産拡大のペースが遅くなることは確かですが、それでもリスクを極力下げたい場合や資金をあまり使いたくない人には、少額で行える戸建て物件は悪くない投資対象となります。
もし戸建てへ投資するなら?投資物件選びの注意点
基本的に一部の投資家を除けば、戸建て物件へ投資するのはオススメできません。それでもデメリットを克服できるようであれば投資対象として検討してもいいかもしれません。
また、物件を探しているタイミングで費用を最小限に抑えつつも手間を減らせるような物件を見つければ、「もしかしたら…」と思えるような好条件な優良物件も見つかる可能性も否定できません。そこで、次は中古の戸建て物件を選ぶ際の注意点について最後にお伝えしたいと思います。
アパートや区分マンションで物件を探しているなか、偶然戸建てでも良いと思えるような物件に出会っても、それが本当にあなたに最適な戸建て物件なのか?本当に優良物件になり得るのかを確かめるためにも、ポイントをしっかりと抑えておきましょう。
安全性に不安がない物件
不動産という現物資産ですので、様々な要因で痛みます。特に日本は台風や地震が多く、長期的に経営していく不動産投資では少しずつ問題が蓄積していくでしょう。さらに中古の戸建てともなれば、購入時点でそれなりに年月が経っていることから、改築してからも充分に長く住める状態でなければなりません。
例えば、傾きが物件にある場合やシロアリの被害を受けている場合、この2つは安全性に大きく問題があり、再生するのにも費用が高く難しいことが多いため、購入してはいけない特徴です。
ただ、こういった特徴というのは素人が見ただけでは判断しづらく、実際に下見にいったとしても気づかないはずです。そのため、解決方法として販売業者が売主となっている物件を購入することがオススメです。
もしも個人ではなく販売業者が売主の場合、売主は「契約不適合責任」というものを負うことになり、これは、その物件の隠れた瑕疵も含めて欠陥があれば、売主に責任が求められるものです。
つまり、中古物件であっても契約不適合責任が発生することから欠点を見逃していた場合の責任を追求する可能なため、基本的には業者側はかなり厳しく欠陥の有無を調査しています。
ただ、仲介物件が売主でない物件では契約不適合責任はありませんので、購入後の大きな瑕疵を発見しても売主に責任を追求することができないため注意しておきましょう。もちろん、売主が業者の方が不動産価格は高い傾向がありますが、もしものリスクを考えるとリノベーション済みの物件を再販している業者から購入するのが最もオススメです。
新耐震基準が昭和56年以降の物件
戸建て物件への投資は基本的に中古になりますが、ここで重要になってくるのは昭和56年(1981年)の6月1日以降に建築確認を受けた新耐震基準の物件かどうかです。
なぜ重要になってくるかというと、日本は地震が多く震度6〜7の地震でも倒壊の心配がないように構造建築設定されているのが昭和56年6月以降だからです。この耐震性は破損しても補修することが生活可能な構造設定で建築されていることから、地震などで物件のオーナーに損害賠償が求められるケースもあることを考慮すれば、中古物件を選ぶ場合には耐震性の高い物件を選ぶことが大切になります。
また、旧耐震の物件では金融機関から融資を受けれないことも多く、売却の際には買い手が見つかりづらい事も考えると売却益を狙うことは避けるようにしましょう。
駐車場の有無
戸建て物件の場合、アパートやマンションと違って駅から離れた所に建てられたとしても賃貸需要があります。しかし、基本的に地方などでは車を使った移動が想定されていることから、駐車場が物件に付いているかはかなり重要になります。
最低でも車1台は停められるスペースがある物件は必須条件になりますので覚えておきましょう。
まとめ
今回の記事では、中古物件に関して解説しました。特に戸建て物件は難易度や発生する手間がアパートやマンションに比べると多くなるため、利益拡大が狙いづらいというデメリットがありますが、ある程度の資金や時間などのデメリットを克服できる人であれば最適でもあります。
もしも将来的に大きく資産を不動産投資を増やしたい場合には、一棟アパートやマンションへ検討しなおすようにしましょう。もちろん、戸建て物件にも少額で購入可能だったり、利回りが高いというメリットはありますが、他にもアパートうやマンションではないようなシロアリや傾きといった安全性の問題もあるので、その点も関しても再販業者にするなど、様々なリスクを考慮したやり方が必要になります。
問題点もあり、行える人が限られる中古の戸建て物件ですが、求める収益を満たせるようであれば問題はないので、アパートやマンションなどへの投資がハードルが高い人はぜひ戸建て物件への投資も検討してみましょう。
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