不動産投資に取り組み始めた人達の理由
不動産投資を始める理由は人によって異なりますが、基本的に不動産投資で得られるものは家賃収入ということもあり、資産増加が主な理由になっています。もちろん、相続などにより親族から物件を受け継ぎ不動産経営を始めたという人もいますが、多くの人が「将来」のために備えるとの考えのもと、以下の6つの動機から始めることが多くなっています。
- 老後資金を作る
- 資産の効果的な運用
- 生命保険代わり
- 年金・退職金代わり
- 税金対策
恐らく上記6つに当てはまるという人が大多数であり、不動産投資を検討しているのであればあなたもその一人なはずです。ただ、特に不動産投資に拘らず他の運用方法を用いても代用は可能にもかかわらず、これら5つの動機がなぜ不動産投資へと結びつくのか?次はその点を細かく解説したいと思います。
①老後資金を作る
日本は他の国に比べて医療制度が充実しているほか、身近に病院があることもあり体調が悪ければすぐに診断を受けることができます。また、医療制度の充実は平均寿命へも大きく貢献しましたが、同時に若者世代への負担も大きくなり、「将来貰える年金が少なくなるのではないか」「最悪貰えない可能性だってある」といったように老後の支えとなる年金へ影響を及ぼす可能性が指摘されるようになってきました。
また、訂正はされましたが金融庁が発表した老後2000万円問題は、今の社会を支えている現役世代から間もなく定年というサラリーマンに大きな衝撃をもたらし、不安が増したという人も多いはずです。実際に少子高齢化の日本の現状を考えると若者の負担が将来的にさらに増える流れになるのは不定できません。
もちろん、定年を迎える際にそのような状況になっていなければ問題ありませんが将来のことは分かりません。それが何十年も先の話となれば不安は残るうえ、いざ定年を迎えた際に負担が大きいと嘆くことになれば目も当てられません。
そのため、最近では年齢を問わず少しずつ将来に向けた資産増加を検討し、安定した収入を得やすい資産運用である不動産投資を始めるサラリーマンが多くなっています。
特に30代〜40代で不動産投資を行っている人が最も多いのは、定年後の老後を意識し始める年代であり、老後に必要な資金も容易に準備できる額ではないためです。定年後に働き続けることになったとしても、以前のような収入は望めず、最悪これまでの生活水準を維持することができない状況に陥ることも考えれます。
ただ、不動産投資では入居者に住んでもらうことでほぼ確実に家賃収入を得ることができることもあり、株式や投資信託などと違って保有している資産を分かりやすく目減りするということがありません。また、ある程度の期間で安定した利益が発生するようになれば、2件目や3件目の物件を購入して資産増加を早める人もいます。
その後、その家賃収入を老後の資金として使ってもいいですし、売却してまとまった資金を作ることも可能な点を考えれば、ある程度将来に備える余裕があり、昇進などで収入も増えやすい年齢で不動産投資を始めるサラリーマンが多いというわけです。
②資産の効率的な運用
日本人は世界的に見ても貯金が好きだと言われています。事実、「2020年第2四半期の資金循環(速報)」の統計データでは、貯金の比率が1031兆円で全体の54.7%と非常に高いことが分かります。
もちろん、貯蓄がなければ急に大きな支払いが必要になった際や怪我・病気が発生すれば対応が遅れるため、悪いというわけではありません。ただ、貯蓄ばかりではインフレ率が上昇した際には資産が減ってしまうことなってしまいます。
資産が何もしなくても減ってしまうというのは馴染みがないかもしれませんが、近年では新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響もあって物価が上昇しており、その影響を受けている人も多いはず。
こうなれば使わずに貯金している資産というのは減っているのに等しく、将来さらに物価や税金が増えれば余裕のある資産を銀行に預けているだけでは作れない可能性が高くなります。
そこで備えとして必要な資産は残しつつ、有効に眠ったままの資産を活用する方法の1つとして不動産投資が利用されています。単純にまとまった資金で不動産を購入するという人もいれば、頭金を多めに払ってローン返済の期間を短くしたりといった形で、将来設計と資産形成を考えて活用してお金に働いてもらっているというわけです。
日本人にはなかなか踏み出せない部分かもしれませんが、やはり何も使わないまま資産を眠らせておくより、少しでも増やすために資産の預け場所を変えているという意識を持っている人が不動産オーナーには多いようです。
③生命保険代わり
不動産投資のメリットとして多く語られるものの1つに、生命保険代わりとして活用できるというものがあります。もしも不動産投資について調べたことがあるのであれば知っている人も多いでしょう。
生命保険と不動産投資は大きく異なりますが、どういう事ことなのか?
これは、不動産投資で金融機関から融資を受けて不動産経営を行う場合、団体信用生命保険(住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあった際には住宅ローン残高がゼロになる保険のこと)の効果を享受することができるためです。つまり、終身の生命保険を付与しているのと同じような効果を得ることが可能で、債務者が事故や病気などでお亡くなりなった際には金融機関に保険金が支払われることになるためローンが完済されます。
中にはガン特約などを付与しているものもあり、ガンと診断された時点でローンがなくなるといったケースもあります。「保険代わり」として機能することから、不動産投資で保険代わりとして多く語られますが、死亡や高度障害でなかった場合には団体信用生命保険の保険金が支払われないこともあるので注意しましょう。
また、所得している物件が空室であれば、不動産収入から保険料を支払えない状況に陥って赤字となるため、生命保険よりも不動産投資の保険料が高くなってしまう可能性もあります。
あくまで不動産経営が安定しているうえで成立するため、家賃収益が安定できるように経営計画をしっかりと考えておきましょう。
④年金・退職金代わり
厚生労働省が発表した調査結果「平成25年就労条件総合調査結果の概況」では、退職給付制度がある企業は約7割で、外資系を中心とした企業では4社に1社は退職金制度がありません。また、退職金という福利厚生制度を時代後れと考え、ベンチャー企業では退職金自体ないことも珍しくありません。
さらに、近年では年金の支給額も減少傾向であり、少子高齢化の影響もあってネガティブな話題が多いのも事実。こう考えると、何十年も先の将来で老後を迎えた際には退職金や年金をあてにして何かを購入したり悠々自適に暮らすという計画は大変厳しい状況のように思えます。
仮に定年後の老後に旅行や趣味などを楽しみながら生活をするために65歳で3,500万円の資産を目指すとします。すると、毎年100万円ずつ貯金する必要があります。
また、金融庁の報告書で話題になった老後資産2000万円で考えると年間約57万円程度なので目標資産は半分になりますが、それでもサラリーマンの平均年収や世帯を持ち始めることが多い30代では、なかなか思い通りに貯蓄が進まないという人も多くいます。
特に銀行預金では金利の低さから対策にならず、個人年金では毎月の負担額が大きいため始めるのにハードルがあります。株や投資信託は安定性に欠けることから損失も怖い。
こういった人は非常に多いはずです。
ただ、不動産投資では少子高齢化で人口は減っているものの、東京都などの首都圏では単身者を中心に人口が増えており、数十年は安定した物件の運用が可能です。
首都圏では物件価格が高くなるという問題がありますが、ワンルームマンションなどでは単身者が増えていることもあり需要が高く、購入価格もかなり抑えることができます。新築でも2〜3000万円から購入が可能ですので、金融機関からの融資も降りやすいことから東京などでのワンルームマンションは非常に安定した家賃収益を見込むことができるというわけです。
当然サラリーマンで一括購入する人は非常に少なく、当然融資を受けて不動産経営を始める人が多くなっていますが、仮に2,660万円の物件を頭金なしで35年ローンで購入した場合では、金利次第で変化はあるものの65歳定年時には完済は可能です。
完済後は年金代わりに毎月家賃を得られますし、まとまった資産を欲しければタイミングをみて売却することで資産増加を図れます。ただ、ローン返済までは5〜8000円程度の出費が毎月発生することになり、多少負担に感じる人もいるかもしれません。しかし、個人年金などに比べると非常に安く、繰り上げ返済で完済期間を短くすることもできるため、年金や退職金代わりとして考える人も多いことから、時間と収入に多少の余裕が生まれる30代から不動産投資を始める人が多いというわけです。
⑤税金対策
不動産投資を行う人の最も大きな目標は将来的な資産形成になります。大きな資金を使うことなくローンが完済すれば大きな価値の資産を作ることが可能になりますが、そういった資産増加ではなく「所得税」「住民税」「贈与税」「相続税」といった税金を安く抑える効果も期待できます。
所得税・住民税が安くできる理由
所得税には各所得の合計額が課税される「総合課税」、そして他の所得は合算できずに納税が義務付けられている「分離課税」の2つがあります。
総合課税の対象で馴染み深いものを挙げれば給与所得や事業所得がありますが、不動産で得た家賃収入も総合課税の対象となり、これは総合課税で黒字から赤字を差し引く損益通算と呼ばれる仕組みを利用することが可能です。
つまり、間接的に支払う税金の額を抑える効果を得ることができるのですが、例えば不動産経営で加入している保険や修繕などで発生した費用や管理会社に支払っている経費を計上することで所得税を抑えることができるというわけです。
不動産経営においては、経費計上できるものは以下のように多くあります。
- 租税公課:固定資産税・都市計画税・登録免許税など
- 損害保険料:火災保険・地震保険など
- 減価償却費
- 修繕費:設備の修理・壁の塗り替え・畳の張り替えなど
- 借入金の支払利息:不動産取得時に組んだローンの利息
- 管理費:建物管理会社や賃貸管理会社へ支払う費用
- 広告宣伝費:入居者募集などにかかる費用
- 通信費/交通費:電話・インターネット代・物件下見などの移動費用
- 接待費:管理会社や税理士との打ち合わせで支払った飲食費など
- 消耗品費:デジカメ・プリンターなどの購入費
- 税理士報酬
贈与税の節税
不動産を経営していれば多くの人が生前贈与についても考え始めます。ただ、物件を売却して現金化するよりも、不動産のまま贈与するほうが節税になり、家族の生活を守る手段になります。
どういう事かというと、不動産を贈与する際には国税庁が定めている「相続税評価額」を元に計算を行います。不動産の贈与では時価ではなく、この「相続税評価額」によって贈与税を算出することになりますが、この方式で算出すると不動産の評価額は時価よりも2〜3割安くなることになります。
つまり、不動産を現金化して贈与するよりも、不動産のまま贈与したほうが資産価値は高くなることから節税に繋がるというわけです。ただ、不動産取得してすぐに贈与を行った際には節税対策だと指摘される可能性があるので気をつけておきましょう。
また、不動産における贈与には登録免許税や不動産取得税が課されることになるので、贈与資産に対して5%程度の税金が発生することになる事は覚えておきましょう。
相続税
不動産の相続では、不動産を所有しているオーナーが亡くなった時点で所有権が移転していなければ発生し、その節税の仕組みは贈与税の同じになります。
仮に1億円の資産が現金出会った場合、現金で相続する際には1億円全てが課税対象となりますが、不動産として相続する場合には評価額が8,000万円程度まで下がることになります。
つまり、課税対象額が引き下げられれば相続税も下がり、節税が可能というわけです。そのため、借地や借家を相続する際には相続税評価額を下げられる可能性次第で節税効果も大きいと覚えておきましょう。
ここまで実際に不動産を始める人達の年齢や年収、得られるメリットから不動産投資を行う理由などについて説明しましたが、最後は多くの不動産オーナーが日本中にある不動産のどこを中心に物件を購入しているのかを解説したいと思います。
Comment On Facebook